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イギリスのサザンプトンとオランダの生殖医療研究者は、体外受精 (IVF) 治療が成功するかどうかを予想できる子宮内膜の特定遺伝子パターンを突き止めた。この研究の共同筆頭著者で、サウサンプトン大学のChair in Obstetrics and Gynecologyを務めるNick Macklon教授は、なぜ一部の女性がIVFで繰り返し失敗するのかということを不妊治療医が理解する助けになるのではないかと述べている。また、体外受精治療を受ける前に女性が妊娠できる確率を判定したり、繰り返し失敗した場合にさらに治療を続けるべきかどうかを判断する手がかりとなるテストの開発にもつながると述べている。サザンプトン市のPrincess Anne Hospital内にある、NIHR Southampton Biomedical Research Centreの一機関、Complete Fertility Centre SouthamptonのMedical Directorを務めるProfessir Macklonは、「これまで、IVFで何度良質な胚の移植を受けても妊娠に成功しない女性が多くの場合、子宮内膜が失敗の原因かも知れないということがはっきりしなかった。今回の研究で、IVFで何度も失敗している女性では内膜の細胞に異常な遺伝子発現が見られ、特定遺伝子パターンが見られる場合、必ずIVF失敗になっていることが突き止められた。IVFの失敗を理解する上で重要な発見だ」と述べている。

University of California (UC), San Diego (UCSD) の生物学者と生物医学者の研究チームは、細菌が抗生物質に感受性を持つかどうかを2,3時間で判定する新しい検査法を開発した。これは大きな前進というべきで、薬剤耐性化を遅らせ、さらに、医師にとっては、一刻を争う致命的な細菌感染症の細菌に合わせた治療を迅速に判断することができる。 

California Inatitute of Technologyの研究チームは、「アルギニン・バソプレシン」と呼ばれるホルモンは、これまで動物の一夫一妻的生殖行動や同種個体に対する攻撃性などと関係があるとされていたが、ヒトの場合には危険な状況で協力関係を強化する作用があると述べている。2016年2月8日付のPNASオンライン版に掲載されたこの研究成果は、集団が有益な目的に向けて協力するように用いることができる可能性を示している。この論文は「Vasopressin Increases Human Risky Cooperative Behavior (バソプレシンがヒトのリスキーな協力行動を強化)」と題されている。齧歯類での研究で、アルギニン・バソプレシン (AVP) というホルモンは、オスメスのつがいの一夫一妻的結びつきや親としての行動を強化するが、オスでは攻撃性を強めることが突き止められている。この論文の共同著者でCal TechのRobert Kirby Professor of Behavioral Economicsを務めるColin Camerer, Ph.D.は、「一夫一妻制のマイナス面として、AVPで興奮したオスは、侵入者に対してより攻撃的になる傾向が見られる」と述べている。しかし、この新しい研究では、Dr. Camererと研究チームは、「AVPは人間の社会的絆にも役割を果たしており、互いに協力するという人間の性質もそれで説明できるのではないか」という仮説を試した。

免疫療法をがんや感染症治療のために広く臨床的に用いる試みは近年になって大きく進んでいる。たとえば、T細胞移入療法の臨床試験はかなり有望な成果を挙げている。ワシントンDCで開かれたAmerican Association for the Advancement of Science (AAAS、米国科学振興協会) の2016年年次総会では、Technical University of Munich (TUM) のDirk Busch教授、San Raffaele Scientific InstituteのChiara Bonini教授、Fred Hutchinson Cancer Research CenterとUniversity of Washingtonに所属するStanley Riddell教授という斯界の国際的権威3人が、最近のこの分野の進展状況を報告した。T細胞免疫は、健康に対する疾患の危険を判断し、これに対応するよう進化してきており、同じ疾患の再発を防ぐために生涯にわたって免疫を記憶している。ところが、慢性疾患では、反応性の高いT細胞がしばしば不活動になったり、消失することさえある。最近の研究の進歩により、保護機能的なT細胞の免疫応答を復活させることで慢性感染症だけでなく、がんさえ治療できるという考えがかなりリアリティを持ち始めている。

糖尿病患者の場合、膵臓でインスリンを産生するβ細胞と呼ばれる細胞が喪失するか、機能不全に陥っている。長年、研究者は、このβ細胞を補充する方法を探し求めてきた。2016年2月18日付Cell Stem Cell誌オンライン版に掲載された研究論文で、ある研究チームが、胃下部の組織がβ細胞としてリプログラムできる可能性がもっとも高いことを突き止めたと報告している。このオープンアクセス論文は、「Reprogrammed Stomach Tissue As a Renewable Source of Functional Beta-Cells for Blood Glucose Regulation (血糖調節のためのβ細胞再生源としてリプログラムした胃組織)」と題されている。同研究チームは、マウスからこの組織のサンプルを採取して、「ミニ器官」として培養した上でマウスに戻すとインスリンの分泌を始めた。それだけでなく、「ミニ器官」幹細胞は、インスリン産生細胞を補充し続け、組織の再生能力を維持することができた。リプログラミングでインスリン分泌能力を持たせるのに適した体内組織を見つけるため、研究チームは、マウスの遺伝子組み換えを行い、他のタイプの細胞をβ細胞に変えることのできる3種の遺伝子を発現するようにした。

The Scripps Research Institute (TSRI) の研究チームは、B細胞免疫寛容の主要調節因子と見られるmiR-148aというmicroRNAは、活動が高揚すると全身性エリテマトーデス (SLE、狼瘡とも) など自己免疫疾患の原因になる可能性があることを突き止めた。miR-148aという小さなノンコーディング分子の活動高揚で、自己応答型の免疫B細胞が血流中に入り込み、自身の身体の組織を攻撃するようになることを発見したのである。この研究論文は、2016年2月22日付Nature Immunologyオンライン版に掲載され、「The microRNA miR-148a Functions As a Critical Regulator of B Cell Tolerance And Autoimmunity (B細胞寛容と自己免疫性の重要な調節因子として機能するmiR-148a)」と題されている。論文第一著者のAlicia Gonzalez-Martinは、その発見に興奮しており、「B細胞寛容の調節に関連して初めて名前が浮かんできたmiRNAだ」と述べている。また、TSRIのDavid Nemazee教授とともに研究を進めた共同筆頭著者、TSRIのChangchun Xiao准教授は、「これは将来の治療法の標的として有望だ。これがただの副作用ではなく、明確な因果関係を持っていることを突き止めた」と述べている。

Stanfordのバイオエンジニアと医師の新研究で、受精1時間後という初期段階で卵の硬さを測定するだけで、現行の方法より正確に胚の生存率を予測できることを突き止めた。この手法で、体外受精 ( IVF ) での単一胚移植の成功率を大幅に向上させ、ひいては母子の予後を改善することができる。現行のIVF胚選別は比較的定性的な作業である。まず卵を受精させ、5日または6日後、胚が60個から100個の細胞の胚盤胞段階に達すれば、胚のモルホロジーと細胞分裂速度を評価する。その後、もっとも卵割の速い、もっとも形のいい胚を選び出し、移植に用いる。胚盤胞からいくつかの細胞を採取し、遺伝子検査にかけることでさらに成功率を高めることができるが、このような侵襲的な仕方は、サンプルが最終的には胎盤になる細胞であっても、胚にストレスを与えることになる。どちらの場合にも確実な結果は見込めず、失敗率が約70%になることから、医師は母体の子宮に複数の胚を移植し、どれか一つが着床すればと期待することになる。しかし、これが厄介な問題を引き起こすことがある。

アルツハイマー患者を治療する薬剤の開発研究は、過去何十年かにわたり、世界中で熱心に行われてきた。診断に関しては大幅な進歩があり、この疾患をますます早く、また正確に見つけることができるようになったが、選ぶ薬剤となるとまだ限られている。脳にタンパク質が蓄積するのがアルツハイマーの特徴であり、慢性的に進行する脳細胞壊死に関わっているとされている。現在では、この疾患も、認知症徴候が現れるより前の最初期段階で発見できるようになってきた。このタンパク質の塊は、βセクレターゼとγセクレターゼという2つの酵素がアミロイド前駆体タンパク質 (APP) を三つの部分に切断してできる、βアミロイド・ペプチド (Aβ) という有害なタンパク質の破片が主要部分を占めている。もしβセクレターゼ、またはγセクレターゼが遮断されると、それ以上の有害Aβペプチドの生成も阻害される。そのため、生物医学的な研究は、医療的突破口としてこの2種の酵素を重点に進められてきた。しかし、これまでのところ、γセクレターゼを遮断する化学物質を用いた臨床研究の結果はそれほど芳しくない。問題は、この酵素が細胞の他の重要なプロセスにも関わっているということである。この酵素を阻害すると、消化管出血や皮膚がんなど激しい副作用を引き起こす結果になるのである。そこで、研究者は長年βセクレターゼにも注目して研究を進めてきた。

米国のある59歳の心臓病患者は、危険なほどコレステロール値が高く、しかもスタチン系薬剤ではほとんどコレステロール値を下げることができなかったが、UT Southwestern Medical Centerの研究グループの研究作業から生まれた新しい作用機序の薬剤のおかげで今では正常に近いコレステロール値に下がっている。昨年夏、PCSK9阻害薬と呼ばれるクラスの2種の薬剤が、コレステロール値の極端に高い患者向けの医薬として米食品医薬局 (FDA) の認可を受けた。UT SouthwesternでPreventive Cardiology ProgramのDirectorとInternal Medicineの准教授を務めるDr. Amit Khera (写真右) は、「リスクのもっとも高い典型的な症状の患者の治療を考えれば、この薬剤クラスがどれほど重要か理解できる」と述べている。ダラスでFrank’s Wrecker Serviceを経営し、6人の孫を持つFrank Brown氏 (写真左) は家族性高コレステロール血症を患っている。これはコレステロール、特に「悪玉コレステロール」の低比重リポタンパク質 (LDL) の高コレステロール値を引き起こす遺伝性疾患である。高LDLコレステロール値は、心疾患と強い関連がある。ブラウン氏は心臓発作を二度経験しており、コレステロール値を下げるために複数の薬剤投与を用いたかなり強力な治療を受けてきたが、値は頑固なほど下がる様子がなかった。

空腹感と満腹感の分子レベルの機序は代謝障害や肥満の問題を理解する上できわめて重要な手がかりになるが、研究者もまだ十分に解明できていない。しかし、Rockefeller Universityの新研究で、摂食を調節するシステムの重要な部分が明らかにされた。 

心臓が不調を来すと、身体がその状態を治そうとあらゆる手立てを講ずる。ところが時として、そのような補償メカニズムがむしろ益よりも害をもたらす結果になることがある。副腎ホルモンのアルドステロンでもそういうことが起きる。アルドステロンが心臓をさらに活発に動かそうと刺激する結果、心筋に与えるダメージがなおさら大きくなってしまうのである。最近、Temple University, Lewis Katz School of Medicine (LKSOM) の研究で、このプロセスを抑制する手段に一歩近づいた。この研究チームは、Gタンパク質共役受容体キナーゼ (GRKs) と呼ばれるシグナル分子がアルドステロンによる心臓障害に介在しているという思いがけないメカニズムを発見した。そのことにより、治療の前進に道を開いたといえる。

UCLAの研究チームは、液状サンプルに浮遊している細胞をその微妙な生化学的違いによって選別整理するセルソーティング方法を新しく開発した。この新しいセルソーティング技術は、現行のセルソーティング技術よりも迅速正確に細胞を選別し、単純かつ迅速な細胞分析自動化を可能にすると同時に、治療に用いる細胞と治療に用いない「汚染」細胞とを簡単に分離できるようにもなる。セルソーティング技術は、ライフサイエンス研究、診断、産業的な工程など幅広い分野で用いられている。たとえば、組織や培養器から前駆細胞や幹細胞を分離するのに用いられており、一旦分離した細胞は組織損傷の治癒やがん細胞攻撃のために患者の体内に戻す治療にあてられる。UCLAでは開発された磁気ラチェッティング・システムは、わずかに異なる細胞も分別し、治療に適した細胞のみをより分けることができる。

がんのもっとも一般的な治療法として放射線療法と化学療法がある。しかし、このどちらも副作用があり、健康な組織まで傷める。そればかりか、がんが体中に広がっている場合にはその効果も限られている。 

サン・アントニオのCancer Therapy & Research Center (CTRC) の研究グループは研究論文を発表し、正常な乳房組織におけるBRCA1遺伝子、通称「アンジェリーナジョリー遺伝子」の機能、およびその機能の欠失によって乳がん発症に至る機序をさらに深く解明している。米国国立がん研究所指定の総合がんセンターの一つ、CTRCは、テキサス大学サン・アントニオ校医学部の一部であり、サン・アントニオにおけるテキサス大学健康科学センター、医学部付属臨床診療機関である。BRCA1は、各細胞の遺伝的青写真を保管するDNAの損傷を修復することでがんを抑制する機能が知られている。このDNAの損傷は、加齢や環境的な影響によって起きる。

2016年4月19日付Human Reproduction誌オンライン版に掲載された研究論文によると、BRCA1遺伝子変異と、卵巣卵残存量を示すホルモン・レベルの低下との関連が突き止められた。同誌は世界をリードする生殖医療学術誌の一つとして知られている。この論文はオープンアクセス論文として掲載されており、「Anti-Mullerian Hormone Serum Concentrations of Women with Germline BRCA1 or BRCA2 Mutations (生殖細胞系列BRCA1またはBRCA2変異を持つ女性の血清中の抗ミューラー管ホルモン濃度)」と題されている。国際的な研究グループは、遺伝子変異を持った女性のBRCA1、BRCA2遺伝子変異と抗ミューラー管ホルモン (AMH) レベルを調べた初の大規模研究で、BRCA1変異を持つ女性は、BRCA1変異を持たない女性に比べるとAMHの濃度が平均25%低いことを発見した。BRCA2変異についてはそのような関係は見られなかった。

ロッテルダムで開かれた2016年 国際細胞外小胞学会 (ISEV) の全体会議では、講演者として予定されていた世界的に著名なウイルス学者のRobert Gallo, MDが、感染症で入院先のアメリカの病院から800人を超える参加者を前にビデオ録画で講演するという一幕があった。Dr. Galloは、ISEVの第二全体会議「最高峰から学ぶ:ウイルス対EV」において、もう一人の世界的なウイルス学者、Leonid Margolis, PhDとともに演壇に立つ予定だった。同じ全体会議には、University of Nebraska Medical Centerの教授、Shilpa Buch, PhDも講演した。Dr. Galloの科学的業績は数多く、また著名である。博士は、AIDSの病原体をHIVと突き止めた重要な研究を主導した上にHIV感染を判定する簡単な血液検査も開発した。この難病に対する戦いを前進させた功績は大きい。1980年から1990年にかけての時期、Dr. Galloの研究論文は引用回数が世界最多だったし、博士は、また、Lasker Awardを2度与えられた数少ない学者の一人でもある。それほど優れた業績を持つ科学者がISEV 2016年総会の参加者の前で講演することを望んだという事実一つをとっても、EV研究が重要性を持つようになったことが示されている。事実、Dr. Galloは、その発言の中で、EVについて、「新しい期待の持てる分野だ」、あるいは、「医学全体にインパクトを与える新しいコミュニケーションの方法だ」と語っている。さらに、博士は、彼自身のヒト・レトロウイルスに関する重要な研究について簡単に触れ、その研究が、レトロウイルスに似たところの多いEVを調べ、特徴付ける研究の指針になるかも知れないと考えたと語っている。

2016年5月4日、国際細胞外小胞学会 (ISEV) は、ロッテルダムにおいて、第5回年次総会 (ISEV 2016) を開き、全体会議ではがん研究分野の権威者2人がプレゼンテーションを行った。ハンブルク大学 エッペンドルフ メディカル センター, 腫瘍生物学教室の教授であり、Directorを務めるKlaus Pantel, MD, PhDが、「Liquid Biopsy in Cancer (がんの液体生検)」のテーマで語り、また、ニューヨーク市のワイルコーネル大学医学部で教授を務めるDavid Lyden (写真), MD, PhDは、「The Systemic Effects of Exosome-Mediated Metastasis (エキソソームが媒介する転移の全身的な影響)」のテーマで語った。2人の講演は、800人近い参加者が会場をぎっしりと埋めた。

University College London (UCL) が中心になって行った国際的な研究で白髪化の遺伝子が初めて突き止められ、この現象が単に環境的なものではなく、遺伝的な因子も持っていることが明らかになった。2016年3月付Nature Communicationsに掲載されたこの研究は、ラテン・アメリカ全体にわたって様々な民族の祖先を持つ6,000人強の人口を分析し、髪の色、白髪化、濃さ、直毛や縮毛の形状に関わる新しい遺伝子を探した。この研究論文は、「A Genome-Wide Association Scan in Admixed Latin Americans Identifies Loci Influencing Facial and Scalp Hair Features (民族混合ラテン・アメリカ人のゲノムワイド関連スキャンで顔の毛と頭髪の特徴を決める遺伝子座判明する)」と題されている。筆頭著者を務めたUCL Cell & Developmental BiologyのDr. Kaustubh Adhikariは、「禿頭化や髪色に関わっている遺伝子はすでにいくつか見つかっているが、人間の髪の形状や濃さに関わる遺伝子や白髪化に関わる遺伝子が発見されたのは初めてだ。これも、多様な民族のるつぼを分析したために可能になったことであり、これほどの規模での分析は過去にはなかったことだ。この研究の成果から人間の外見に対する遺伝子の影響について知見が深まれば、法医学の分野でも化粧品の分野でも様々な適用が考えられる」と述べている。また、法医学的なDNA技術の開発で個々人の遺伝子構成に基づいて視覚的なプロフィールを構築することができるようになるかも知れない。この分野の研究は、これまでヨーロッパ系住民のサンプルを用いてきた。しかし、この新しい研究成果をラテン・アメリカ、東アジアで法医学的な復顔法に役立てることができるかも知れない。

ミシガン大学(U-M)がこの度、連邦政府資金による細胞研究プロジェクトにおいて、細胞作製を司る団体として登録された。これはU-Mが導出した第二世代幹細胞株を対象とする。UM11-1PGDとして知られるこの細胞株は、提供された5日齢のroughly the size of the period at the end of this sentence胚から得た30個の細胞クラスターから導出された。 

ハダカデバネズミ (Heterocephalus gaber) の長寿とがんに対する抵抗力はよく知られているが、メクラデバネズミ (Spalax属) も、地中の酸素の乏しい環境に棲息しており、長寿でがんに対する抵抗力がある。新しい研究でSpalaxのがん抵抗力が実証され、さらに低酸素環境に適応したことが長寿とがん抵抗力を獲得する上で役立ったのではないかという仮説を立てている。 

University of California (UC), San Diegoの生物学者グループが未知の細胞メカニズムを発見した。このメカニズムにより、人間や動物はその発育過程で神経細胞の質を自動的にチェックし、適正に働くよう監視しているという。研究グループは、2013年9月4日付「Neuron」掲載の研究論文で、線虫Caenorhabditis elegansを使った研究により、ニューロンの「品質検査」システムを発見したと報告している。 

海洋藍藻は微細な海洋植物で、日光と二酸化炭素を使って酸素と有機炭素をつくり出し、生物地球化学的循環と栄養塩循環の原動力になっている。藍藻は、酸素を他の生物に供給するだけでなく、藍藻そのものが他の生物の栄養分になる海洋食物連鎖の底辺を形成している。MITの研究チームは、この微小な細胞群が非常に大きな役割を果たしていることを発見した。 

幸せな結婚と不幸な結婚を決めるのは何か - University of California (UC) BerkeleyとNorthwestern Universityの研究チームは、DNAに大きな決め手があることを突き止めた。遺伝、感情、結婚満足度の関係を調べたおそらく初めての研究の報告によれば、セロトニン調節にかかわる遺伝子で感情のあり方が人間関係にどれほど影響するかが決まるとしている。研究自体はUC Berkeleyで行われた。 

Houston Methodist Research Instituteの研究チームは、初段階の研究で血清バイオマーカー中の乳がん細胞検出に成功し、将来的には血液検査で乳がんの早期発見が可能になるだろうと発表した。同研究チームは血液検査による乳がん早期発見法の開発を行っている。 

従来の人間や動物の記憶保存の行動学的研究では、記憶保存をその時間的尺度によって明確に異なる2つの段階で分類している。一つはせいぜい分単位の短期的記憶で、一度の経験で生まれる。もう一つは何日も続く長期的記憶で、通常は繰り返し訓練しなければ形成されない。 

絶滅危惧種である中央アメリカの川ガメ(Dermatemys mawii) の保全に関わるスミソニアン研究所の科学者チームは、この川ガメの遺伝子研究に焦点を当ててきたが、この度、驚くべき結果を得た。メキシコ南部、ベリーズ、グアテマラに至る生息地の15地点・238匹の野生の個体から採取した小組織をサンプルとし、遺伝子構造の「驚くべき欠損」が明らかになり、Conservation Genetics誌オンライン版2011年5月17日付けに発表された。 

スミソニアンの科学者のグループは両生類に急速に伝染するツボカビ病がパナマのDarien地域近傍まで広がってきた事を確認した。この地域はツボカビ病が発生していない唯一の亜熱帯山岳地域であった。この事は絶滅の危機に瀕する20種類のカエルを救済する目的でパナマとアメリカの9つの機関によって結成されたパナマ両生類救済と保全プロジェクトにとって頭の痛いニュースである。ツボカビ病は世界中で両生類の生息数の急速な減少や絶滅を引き起こしてきた。 

NIHのEpigenome Roadmap Projectに参加していた大規模な研究機関合同研究チームが、2013年5月9日付「Cell」オンライン版で、ヒトの胚の発達初期に遺伝子がオン・オフされる仕組みを発表した。Ludwig Institute for Cancer Research のDr. Bing Ren、The Salk Institute for Biological Studies のDr. Joseph Ecker、Morgridge Institute for ResearchのDr. James Thomsonらが指導するこの研究チームは、これまで知られていなかった遺伝子の現象が胚の発生だけでなく、がんの発生にも重要なカギを握っていると述べている。 

UCLAとオーストラリアの生命科学者チームは、「脳の主要な学習中枢が損傷を受けると、複雑な新しい神経回路が現れ、損傷で失われた機能を補償する。この新しい代替回路創出に関わる脳の領域を突き止めた。この領域はしばしば損傷領域とはかけ離れた位置に現れる」と発表している。Dr. Michael FanselowとMoriel Zelikowsky氏が、シドニーのGarvan Institute of Medical Researchの神経科学研究プログラム・グループ・リーダーのDr. Bryce Visselと共同で行った研究の論文が、2013年5月15日付PNASオンライン版に掲載された。 

人間はまだカメから学ぶことがあるかも知れない。また、初めてカメのゲノム塩基配列を解析した科学者達は、カメの長寿の秘密や何か月も呼吸しないで生きられる能力に、人間に応用できる何らかの知識が得られるのではないかと考えている。このゲノム塩基配列解析を担当した研究チームは、「カメが酸素欠乏状態から心臓や脳を守るために持っている自然なメカニズムを解明すれば、将来、人間の心臓マヒや卒中の治療法改善の手がかりになるかも知れない」と述べている。 

最近の研究で、タイセイヨウサケと伝染性サケ貧血 (ISA) ウイルスとの間の相互作用がインフルエンザ様疾病、ISAの発症と伝染につながる仕組みが明らかにされている。この新発見は、2013年4月10日付のプレスリリースで発表されており、インフルエンザ研究一般にも応用できる可能性がある。ISAは1984年にノルウェーで初めて見つかり、今でも養殖水産業にとって深刻な脅威になっているが、養殖タイセイヨウサケの疾病としては、国際獣疫事務局に登録されている唯一の疾病である。 

がん死の90%は原発病変から体の他の部分に広がったがんが原因になっている。これを転移と呼んでおり、転移するがん細胞は周辺の細胞から離れ、組織を構成している足場からも離れて単一で移動しなければならない。MITのがん生物学研究チームは、この組織構造の細胞外基質と呼ばれるタンパク質ががん細胞の脱出を助けていることを突き止めた。 

University of Pennsylvania, Perelman School of Medicineの生理学教授を務めるRoberto Dominguez, Ph.D.は、「細胞の運動性は生命の基本原理であり、細胞はすべて運動能力がある」と述べている。運動性とはあくまでも細胞空間的な尺度であるが、傷の治癒、血液凝固、胎児の成長、神経結合、免疫反応その他様々な機能にとって必要な機能である。 

北カロライナ州チャペル・ヒル所在University of North Carolina (UNC) の研究者は、協力機関の科学者チームとの共同研究で初めてヒトの腸組織から成体幹細胞の分離に成功した。成体幹細胞の分離成功により、ヒトの幹細胞生物学上のメカニズムを正しく突き止めようと望んでいる科学者にとって待ち焦がれていた試料が手に入るようになる。そればかりか、炎症性腸疾患治療法や、腸の損傷を引き起こすことの多い化学療法や放射線療法の副作用緩和にも新しい方向からの取り組みが可能になる。 

これまで、急激に進行する血液のがん、B細胞急性リンパ性白血病 (ALL) にかかった成人には限られた治療法しかなかった。当初の化学療法の後で病気がぶり返すか、再発するのが通常だった。しばしばその段階で患者はそれ以上の化学療法を拒むようになるが、幹細胞移植も、通常疾患が緩解した場合にのみ有効であるため、このような患者には効果が期待できない。 

ある進行性膀胱がん患者が第I相試験でeverolimusとpazopanibとの抗がん薬の組み合わせに対して14か月にわたり完全な反応を示した。患者の腫瘍ゲノム・プロファイリング結果から2つの変異がこの特異な反応の原因となっていると考えられている。2014年3月13日付American Association for Cancer Research (AACR) 論文誌「Cancer Discovery」オンライン版にこの研究の論文が掲載されている。 

Johns Hopkins Children’s Center、University of Mississippi Medical Center、University of Massachusetts Medical Schoolの研究者チームが、「HIV感染乳幼児における、初の『機能的完治』症例」を発表した。研究者たちは、「この成果は、児童のHIV感染を根絶する手段を見つける手がかりになるかも知れない」と述べている。同症例の研究論文は、2013年3月3日、アメリカ合衆国ジョージア州アトランタ市で開かれた「第20回Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections (CROI)」で発表された。 

典型的糖尿病自己抗体を持つようになる児童の腸内細菌の相互作用は、健康な児童のそれとは異なっている。児童の体内で血中の抗体が検出可能な水準まで発達するずっと前にこのような違いができているという事実は、微生物叢のDNA、いわゆるマイクロバイオームが宿主の自己免疫過程に関わっているのではないかという説を裏付けるものである。Helmholtz Zentrum Munchenの研究チームの論文が、専門家向け論文誌「Diabetes」2014年3月7日付オンライン版に掲載されている。 

中国で少なくとも9人が鳥インフルエンザで死亡しており、その患者から採取したサンプルの遺伝子解析の結果は、ウイルスが進化してヒト細胞に適応するようになったことを示しており、世界的なインフルエンザ大流行が起きる危険性が心配されている。国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センターの田代眞人博士、University of Wisconsin-Madisonと東京大学の河岡義裕博士が指揮するグループの共同研究論文が論文雑誌「Eurosurveillance」の2013年4月11日付に掲載された。 

卵細胞、精細胞などの生殖細胞は結合して幹細胞を形成し、この幹細胞は成長してどのような組織細胞にでもなることができる。ところで、生殖細胞はどのように発生するのだろうか? 人間は自分がつくり出す生殖細胞をすべて備えて生まれてくる。しかし、植物は少し事情が違う。植物は、まず成熟した成体細胞をつくり、その後に一部を卵細胞や精細胞にリプログラムする。 

過去のペトリ皿での実験から、がん細胞は三歩と直進できない酔っ払いのように体内をゆっくり、漫然と移動するものと考えられてきた。このパターンは「ランダム・ウォーク (酔歩)」と呼ばれ、2次元的な実験容器の中を移動する細胞には当てはまるかもしれないが、Johns Hopkins Universityの研究チームは、3次元的な体内を移動するがん細胞については「ランダム・ウォーク」モデルがあてはまらないという事実を発見した。 

University of North Carolina (UNC) School of Medicineの研究チームは、人体の健康の維持や疾患に重要な役割を果たしている特定の細胞レベルの回路について、これまでよりさらに深く探ることのできる生化学的な技術を新しく開発した。この技術は、Klaus Hahn, Ph.D.の研究室で開発され、2014年3月9日付Nature Chemical Biologyオンライン版で発表され、キナーゼと呼ばれるタンパク質が活性化し、細胞の移動など特定の細胞の挙動を引き起こす機序を研究する重要なツールになるとしている。 

健康な人が3年以内に軽度の認知障害またはアルツハイマー病を発症するリスクを90%の精度で予測できる血液検査法をGeorgetown University Medical Centerその他の組織の合同研究グループが発見、その有効性も確認した。2014年3月9日付Nature Medicineオンライン版に掲載された論文によると、アルツハイマー病は早めに処置するほど疾患の進行を遅らせたり、あるいは発症そのものを予防するなどの治療の効果が高まるが、この研究成果からアルツハイマー病の効果的な初期治療法を開発できる可能性を述べている。 

ウィスコンシン大学-マディソン校の研究者らはこの大学病院ならびにクリニックにおいて手術中に採取した副鼻洞組織を使って、ヒト・ライノウイルス(HRV)の中でも最近になって発見された新種のウイルスの培養育種を実施した。このHRVは、一般的な風邪において最もポピュラーな原因ウイルスであり、子供のHRV感染症全体の約半分に関与している。研究者は、このウイルスは他のHRVファミリーとは異なった生殖特性があることを発見した。 

2013年11月11日付で発表されたヒトと動物を対象にした研究の新しい報告論文で、経験が遺伝子に影響を与え、その遺伝子が行動や健康状態にも影響することを突き止めている。この研究論文は、Society for Neuroscience2013年次総会でもあり、脳科学と健康に関する世界最大のニュース源でもあるNeuroscience 2013 総会の場での記者会見で発表されたもので、経験が薬物中毒や記憶形成といった脳行動に長期的な変化をもたらす機序に光を当てている。 

日本で新しく開発された診断検査は、メタボローム解析と呼ばれるテクニックを用いており、安全簡単な検査法で早期発見を可能とするため、膵臓がん患者の予後を大きく改善することになるかもしれない。American Association for Cancer Researchの学術誌「Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention」の2013年3月29日付オンライン版に掲載された研究報告によると、日本の研究者チームは、膵臓がん検診方法として、血清のメタボローム解析の有用性を試験した。 

ウェイル・コーネル医科大の研究チームは、肺再生のスイッチングの探究に大きな前進を得たと発表した。これによって何百万人もの呼吸器系疾患患者の治療に道が開けた。2011年10月28日のCell誌に発表された彼らの報告によると、肺の中で酸素交換が行なわれる 場所であり、非常に多くの小さなブドウの房のような液嚢状の肺胞を、新たに再生する誘因となる生化学的シグナルが明らかにされた。特に、その再生シグナルは、肺の血管内壁を覆う特殊な内皮細胞に起因する。マウスモデルの実験では、片方の肺を失った場合、もう片方の杯の容積が増加し広がる事がよく知られている。 

スウェーデンのランド大学とその共同研究施設の研究者達が、アルツハイマー治療におけるビタミンCの新たな効果を発見した。ビタミンCが、アルツハイマーの脳に蓄積される有害なタンパク質の凝集を分解する事が動物実験で分かったと、Journal of Biological Chemistry誌(2011年8月25日付)に発表された。アルツハイマー患者の脳にはアミロイドプラークと呼ばれる、ミスフォールドしたタンパク質の固まりが存在する。この固まりが脳内で神経細胞死をおこし、その際に最初に影響を受けるのが脳の記憶中枢の細胞である。 「私たちがアルツハイマーのマウスの脳の治療にビタミンCを使用したところ、有害なタンパク質の凝集が分解されました。この結果が出たおかげで、今まで理解されていなかったビタミンCのアミロイドプラークへの影響がわかってきました。」と、ランド大学分子医学科のカトリン・マーニ博士は言う。「さらに興味深いことに、使用されるビタミンCは新鮮なフルーツから採れるものでなくても大丈夫なのです。例えば、私達の研究では、冷蔵庫に一晩置かれていたジュースに含まれるデヒドロアスコルビン酸からも十分なビタミンCが得られます。」今現在、アルツハイマーの治療法は存在していないが、この研究は病気の進行を遅らせて、症状を緩和することが着眼点である。

microRNAの発現様式が、バレット食道が食道腺がんに移行する前がん症状の進行を検出する手がかりになるかも知れないという研究報告が、American Association for Cancer Research発行の学術誌「Cancer Prevention Research」の2013年3月号に掲載されている。テキサス州ヒューストンのUniversity of Texas MD Anderson Cancer Center、Division of Cancer Prevention and Population Sciences、Department of Epidemiologyの科長、Xifeng Wu, M.D.は、「アメリカでは、食道腺がんはかつては全食道がんの5%程度というまれながんだったが、過去30年で6倍と急激に増えており、現在では新しく食道がんと診断される症例の80%以上を占めるようになった。 

生物学のもっとも基礎的なプロセスの一つが「転写」と呼ばれるものだ。この「転写」は、タンパク質合成に必要な数多いプロセスの一つに過ぎないが、このプロセスがなければ生命も存在できない。しかし、転写の仕組みにはまだ未解明の部分が数多く残されている。サンフランシスコのGladstone Institutesの研究チームはこの転写の重要な部分に光を当て始めており、それとともに、細胞が成長発達する上で転写プロセスがどれほど重要か、またこのプロセスが脱線するとどういうことになるかの理解にさらに一歩近づいている。 

新しい研究で、去勢抵抗性前立腺がんの治療結果予想は、循環腫瘍細胞検出法を変更する方が、前立腺特異抗原 (PSA) 量の変化を見るよりも高い確度が得られることを示している。この研究は、2013年10月4日から6日にかけて、チェコ共和国のプラハで開催されたhttp://cem2013.uroweb.org/ EAU 13th Central European Meetingで発表され、賞を受けた。 

ドイツのBonn Universityの研究グループと国際的な共同研究チームが、新しい受容体を発見した。現代人類が持っているこの受容体は危険な侵入物を判定し、免疫反応を発揮するために重要な器官である。この有益な器官の青写真はネアンデルタール人の骨のゲノムからも見つかっており、その起源がうかがわれる。この受容体が初期の人類に風土病に対する免疫を与えた。 

University of California, San Diego (UCSD) School of Medicineの研究チームは、インフルエンザA型ウイルスが保護粘液層を突破し、呼吸器上皮細胞に感染、さらに上皮細胞から出て他の細胞に感染していく機序を初めて明らかにした。Department of Cellular and Molecular Medicineの准教授、Pascal Gagneux, Ph.D.が研究チームを率いたこの研究の論文は、Virology Journalのオンライン・オープン・アクセス版に掲載され、ウイルスの活動をさらに効果的に阻害する新しい医薬なり治療法なりへの方向性が示されており、あるいは一部の型のインフルエンザ感染を完全に予防できるようになる可能性も示している。 

Institut Gustave Roussy、Inserm、Institut Pasteur、INRA (French National Agronomic Research Institute) の研究者が共同で行った研究で、がん化学療法は、腸管微生物とも呼ばれる腸内細菌叢の助けを借りると単独の場合よりも優れた効果を現すという驚くべき結果が出た。実際、化学療法によく用いられている医薬の一つは、その効果が分子レベルで腸内細菌叢の特定の細菌を血流やリンパ節に送り込む能力によっていることが突き止められている。 

2013年9月18日付Journal of Neuroscienceに掲載された研究論文は、初めて、遺伝子NTRK3 (neurotrophic tyrosine kinase receptor type 3、trkCとも呼ばれる) をパニック障害傾向の因子と突き止めた。研究チームは、恐怖記憶の形成に関わる機序を明らかにしており、新薬や認知療法の開発に役立つことが考えられる。パニック障害は不安障害の一種に分類されており、推定では、スペイン国民の100人に5人がこの障害に悩んでいる。 

2014年2月4日 (火)、The National Institutes of Health (NIH) は、「Accelerating Medicines Partnership (AMP)」を発表した。これは、過去1年半をかけて「The Boston Consulting Group (BCG)」のガイダンスに従って編成した新しい形の官民共同研究パートナーシップである。AMPは、難治性疾患の生物学的解明に対して組織的な投資をするという初めての事業で、その構想の当初から業界、研究者、政府がパートナーとして協力して体制つくりにあたってきた。 

ミツバチの性決定の分子スイッチが徐々に環境に適応して進化してきた過程が、200年近く経てようやくアリゾナ州とヨーロッパの研究者によって明らかにされた。性決定の遺伝子的仕組みは1800年代中頃にシレジアの僧侶、Johann Dziersonによって初めて提唱されたが、今回の研究論文の共同著者を務めたArizona State University (ASU) のProvost Robert E. Page Jr. によれば、Dziersonはミツバチのコロニーでオスとメスがつくられる仕組みを理解しようとしたということである。 Dziersonは、女王バチも働きバチもメスであり、餌の質と量の違いによって、機能に違いができてくるということに気づいていた。同時に、オスはどうなるのかという疑問をいだいた。Dziersonは、ミツバチのオスを、染色体を1セットしか持っていない半数体と考えたが、1900年代になって顕微鏡の出現に伴い、その考えが正しいことが確認された。顕微鏡を使って観察した研究者は、雄バチになる卵には精子が侵入しないことに気づいたのである。しかし、この半倍数性性決定システムがどのようにして究極的に分子レベルで進化を遂げることができたのかという疑問は、発生遺伝学の分野で最も重要な疑問のひとつだった。

米National Institutes of Health (NIH) は、St. Joseph's Hospital and Medical CenterのBarrow Neurological Institute、Phoenix Children's Hospital、Translational Genomics Research Institute (TGen) (写真) の研究計画に対して今後5年間に400万ドルの研究資金を約束した。この研究計画は、脳損傷の程度を示す分子シグナルを見つけ、医療コストの軽減、脳損傷リスクのある患者を判定し、患者の速やかな快復に役立てようという試み。 

2014年1月12日付Nature Methodsオンライン版に掲載されたUniversity of Pennsylvania (Penn) 学際チームの研究論文は、生細胞のmRNAを生体組織の微小環境で周辺の細胞を損傷せずに分離する、この種のものとしては初めてのテクニックを発表している。このテクニックにより、細胞間の化学的接続が個別細胞機能や全体的なタンパク質生成に与える影響を解析することが可能になる。 

科学者が気候変動の影響を予測しているが、一つ、その中で見過ごされているのは、地球が温暖化した時、土壌中の炭素がどうなるのか、またこの炭素の動きを決めている土壌中の微生物はどうなるのかという問題である。オクラホマ州の草地の研究をした科学者チームが、土壌のすぐ上の気温が摂氏2度上昇しただけでも地中の微生物の生態系が大幅に変化することを突き止めた。 

数多くのがんタイプを横断的に調べた記念碑的な研究で、がん細胞変異の世界はこれまで考えられていた以上に膨大であることが示されている。Broad Instituteが中心になって行ったこの研究では、何千人もの患者の腫瘍のゲノムを解析し、新しいがん遺伝子を数多く発見、既知のがん関係遺伝子のリストが25%も拡大された。そればかりでなく、研究の結果、まだ突き止められていない主要遺伝子が数多くあることも推測されている。 

ワシントン州立大学(WSU)の研究により、40個以上もの植物由来の化合物が、ガンの進行を遅らせる遺伝子を活性化することが可能であることが判明した。ガンの転移こそが致命的であるため、今回の発見はとても励みになる、とWSU薬学部教授および学部長のゲリー・メドウズ博士は語る。さらに、食生活の改善、栄養学的アプローチ、そしてこの植物由来化学物質を合わせて、多くの道を開いているように見えると言う。 

タンパク質は、多くの機能を持つ、細胞の分子マシーンのようなものだ。分子材料の運搬、物質の切断やシグナルの伝達など、分子生物学の分野で長年研究対象となっている機能を有している。しかしこの20年新たに別の種類の重要な分子が注目されるようになってきた。それが、マイクロRNAを含む小サイズのRNAであり、現在では、マイクロRNAが細胞機能の制御に重要な役割を演じる事が明らかになっている。 

クリーブランド・クリニックの研究者達は、悪性脳腫瘍である悪性グリオーマの腫瘍成長に癌幹細胞が関与するパスウェイを発見した。7月8日にCell誌に発表された記事によると、現在使用されている治療薬は既にこのパスウェイに作用し腫瘍の成長を遅らせ腫瘍をブロックする効果がある事が動物実験により明らかである。致命的なケースが多い脳腫瘍に対し、新しい治療法の提供が可能となってきた。 

各種の攻撃手段を備えてがん細胞に侵入し、がん細胞を内側から粉砕する独特なナノスケール抗がん剤にさらに新しい攻撃手段が加わった。免疫系を刺激し、HER2陽性乳がん細胞を攻撃させるタンパク質がそれである。ロサンジェルスのCedars-Sinai Medical Center, Department of Neurosurgery, Maxine Dunitz Neurosurgical Institute, Nanomedicine Research Centerの科学者が率いる研究チームが医薬を開発し、人間の乳がん細胞を植え付けたマウスで研究を行った。 

日本の理化学研究所脳科学総合研究センター(理研BSI)の研究チームは、ユビキチン化タンパク質の凝集体を細胞から選択的に分解するメカニズムを発見した。この発見は、同様の凝集体の補足や除去がp62とよばれるタンパク質のリン酸化によって誘起されることを示し、ハンチントン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患の治療に、新たな道を開くことを示唆する。細胞の最も重要な活動の一つは、タンパク質の生産である。 

アメリカドクトカゲの唾液が2型糖尿病用の大型新薬のきっかけになるかもしれないと誰が思ったであろうか。さらに、Magician's cone snail(イモガイ科ヤキイモ)、Saw-scaled viper(ノコギリヘビ)、Brazilian lancehead snake(ブラジリアンヒメハブ)、Southeastern pygmy rattlesnake(東部生息の小型ガラガラヘビ)の毒から慢性痛、心臓発作、高血圧、脳卒中の薬が得られるとは誰が思ったであろうか。これらはペプチドベースの新薬として登場可能な資源のごく一部である。 

ルー・ゲーリッグ病として知られている致命的な進行性神経疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)のいくつかのケースが、新たに発見された特定の遺伝子における遺伝子変異と関連している、と研究者達によって発表された。研究チームはこの遺伝子における変異が神経細胞の構造および成長に影響を及ぼすことを発見し、ALSがどのように細胞を壊し、麻痺につながるのかについての考察を得た。研究結果は2012年7月15日付けのNature誌に掲載された。 

赤ワインや植物に含まれる化学成分であるレスベラトロルが有する健康増進に有効であるメカニズムが、米国NIHの研究チームによって明らかにされた。同チームが実証したのは、レスベラトロルが、老化に関与するタンパク質であるサーチュイン1を直接活性化しないものの、ホスホジエステラーゼ類(PDEs)と呼ばれる一連のタンパク質類を阻害するという事だ。PDEsは細胞のエネルギー授受に関与する酵素であるが、本発見によってレスベラトロルの生化学論議に決着がつき、レスベラトロルを利用した医薬品の開発に道が開けたということだ。この化学物質は、糖尿病や炎症や悪性腫瘍を治療する活性を有しているので、多くの製薬企業が注目してきた。 本研究結果は、2021年2月3日付けセル誌の記事に紹介された。「レスベラトロルは2型糖尿病、アルツハイマー、心疾患などの幅広い疾患に有効です。しかし、レスベラトロルを安全で有効な医薬品として開発する前に、それが細胞内でどのような機序を有しているかを理解する必要がありました。」とNIH国立心肺血液疾患研究所の肥満と老化研究センター長で、本研究を主宰するジェイ・H・チュン博士は語る。レスベラトロルがサーチュイン1を最初の標的とする、と示唆する報告もいくつか出ている。しかしチュン博士の研究チームは、AMPKと呼ばれるタンパク質が、レスベラトロルの活性化に必要である事を実証していたので、その考え方には懐疑的であった。本研究においては、レスベラトロル処理された細胞内の代謝活性が系統的に追跡解析され、薬効の観点からレスベラトロルが最初の標的とするのは、骨格筋に存在するPDE4であることが同定された。

オハイオ大学総合がんセンター・アーサー・G・ジェームスがん病院&リチャード・J・ソロブ研究所(OSUCCC-James)の研究チームが、タモキシフェン耐性乳がん細胞がどのように成長し増殖するのかを突き止めた。更には、タモキシフェン耐性乳がんを標的として治療する新たな治験薬も開発された。最初のドアが閉まってから次のドアが開くように、エストロゲンホルモンが活性化させる経路をタモキシフェンが阻害した後に、ヘッジホグ(Hhg)と呼ばれているシグナル経路が、乳がん細胞の成長を促進するのである。 

Nature誌Scientific Report 2012年8月30日オンライ版に掲載されたのは、ハイエナの群れの種類と、その臭い腺に生息する微生物の集団との間に、明白な相関関係があるという報告であり、主著はミシガン州立大学(MSU)ポスドク研究者であるケビン・セイス博士である。「すべての動物が行動範囲を決めるのに共通する重要な要素は、意思疎通のシステムにあります。そして群れ独自のバクテリア無しでは、十分なコミュニケーションが取れないのです。」と語るのは、MSUの動物学者であるケイ・ホールキャンプ博士と本研究の共著であるセイス博士である。 

サルモネラ菌は胃腸感染症の主要原因のひとつである。サルモネラ菌は、宿主の腸管上皮に存在するフリーの鉄分量に合わせて自らの病原性遺伝子の表現を調整する。バルセロナ自治大学(UAB)の研究者達は、病原体が白苔プロテイン(Fur protein)を介して病原性遺伝子を活性化させることを初めて証明した。この白苔プロテイン周囲の状況に合わせて鉄分量をチェックするセンサーの働きをする。 

メルボルンのサイエンティスト・チームが、免疫システムのなかに新しいタイプの細胞を発見した。新タイプの細胞(白血球の一種)は、感染症の予防において重要な役割を果たすT細胞ファミリーに属する。このグループの発見は、特定のタイプの感染性生物に対する免疫応答を強めることができた。それは最終的に新しい医薬品になる可能性がありうる。それと同時に、アレルギー、ガン、冠動脈疾患等を含む多くの重篤な疾患にとって重要な役割となる。 

UCLAの遺伝子研究チームが共同研究の成果として、幼児の発達を阻害する稀な疾患であるIMAGe症候群に関与する遺伝子変異を同定した。偶然だろうか?同じ遺伝子に生じる変異によって、ベックウィズ・ウィーデマン症候群が発症する。この疾患は細胞の成長のスピードが速すぎて、子供が大きくなり過ぎるというものなのだ。 

フロリダ大学の研究グループが、海洋微生物が生成する有毒物質由来の化合物が大腸がんに効果がある事を実験モデルで確認した。2011年8月31日付のACS Medicinal Chemistry Letters誌オンライン版に掲載された論文では、一般的には致死性を有する海洋性シアノバクテリアの副生成物を、どのようにしてガン細胞にのみ特異的毒性を発揮する物質に変えたのかが報告されている。この化合物を大腸モデルマウスに低量投与した結果、腫瘍の増殖が抑制される事が明らかになった。元の物質の毒性は観察されず、更には比較的高用量を与えても、この化合物は効果的で毒性は観察されなかった。 

帯状疱疹は非常に痛いことで知られているが、ジョージア大学(UGA)とエール大学の研究者達は、帯状疱疹の水疱治療に、従来よりもかなり効力が高い可能性のある物質を発見した。帯状疱疹は、アメリカ国民の最大30%が罹患している疾患であるが、その大部分は高齢者である。しかも特別な治療処置の方法が存在しない。大部分の成人は、子供の頃に水疱瘡に罹った際に熱、痒みを伴う水膨れ、さらに僅かな傷跡などの体験をしているはずである。 

眼の神経細胞が正常に機能するにはビタミンCが必要である。2011年6月29日号のJournal of Neuroscience誌に発表されたこの新たな発見は、ビタミンCが他の脳機能にも必要な要素である可能性を示唆している。この発表をしたのはオレゴン医療大学(OHSU)の研究チームと共同研究グループである。「網膜の細胞は、比較的高用量のビタミンCが無ければ正常に機能しないという事が分かったのです。」と、OHSUのボラム研究所の科学者で今回の研究の共同執筆者、ヘンリーク博士は語る。 更に「網膜は中枢神経系の一部ですから、今回の発見は、ビタミンCが脳の至る所で今まで知られていなかった大事な役割を果たしているかもしれないという事を示唆しています。」と指摘する。

ダートマウスのガイセル医科大学の研究チームが、直腸がんに関与する遺伝子のオン・オフスイッチを同定した。直腸がんの水先案内人に当たるもので、おそらく新しい治療標的になると考えられる。クオンティタティブ生物医科学研究所長で遺伝子学のThird Century教授であるジェイソン・ムーア博士と、大学院生のリチャード・クーパー・サラリ氏とは、ケース・ウエスタン・リザーブ大学とクリーブランド・クリニックが組織する研究チームの一員である。研究成果はサイエンス誌のオンライン版であるサイエンス・エクスプレス2012年4月12日号に発表された。 

過去最大級のゲノム全体にわたる研究で、5種の主要精神障害がごく一般的な同様の遺伝子的変異にまで遡ることが突き止められた。資金の一部をNational Institutes of Healthが出しているこの研究では、重なり合う部分は統合失調症と双極性障害で最高を示し、双極性障害と抑鬱症、ADHDと抑鬱症で中程度、統合失調症と自閉症では低度という結果が出た。 

エモリー大学の研究チームがこの度、治療困難なうつ病に効く可能性のある炎症抑制薬を発見した。本研究は2012年9月3日付けのArchives of General Psychiatry誌にオンライン掲載された。「炎症は、感染や創傷に対する身体の自然な反応です。しかし長期に渡る、または過度の炎症は、脳を含む身体のいたる所にダメージを与えてしまうのです。」と、本研究の責任著者であるエモリー大学医学部精神医学・行動科学教授、 アンドリュー・H・ミラー博士(M.D.)は説明する。先行研究では、高炎症を有するうつ病患者には抗うつ薬や心理療法など、従来の治療の効き目が低いことが示されている。本研究では、炎症をブロックすることが治療困難なうつ病患者全般に効くのか、あるいは炎症値の高いうつ病患者に特定して効くのかを調べるために行われた。 

2012年のノーベル化学賞は、デューク大学医学センターで39年を続け、ハワードヒューズ医学研究所で治験医師を務めるロバート・J・レフコウィッツM.D.と、1980年代に同博士の研究室でポスドクを務めていた、スタンフォード大学医学部のブライアン・K・コビルカM.D.が共同受賞した。ノーベル化学賞の発表は2012年10月10日に行われた。 

ボストン小児病院(Children's Hospital Boston)の研究者は、ABCB5と呼ばれるバイオマーカーが、結腸直腸ガン領域内のごく一部の細胞にタグを付け、さらに、スタンダードな処置に対して細胞内で抵抗性が高まることを発見した。この結果はABCB5発現細胞の排出が、結腸直腸ガン治療の成功のカギとなることを示唆している。その一方で、ガン幹細胞仮説と呼ばれるガン細胞増殖のエビデンスが増えていることをも示唆された。研究は国際的なチームで進められており、リーダー的存在はボストン小児病院移植研究センター(Transplantation Research Center at Children's Hospital Boston)のDr. Brian J. Wilson氏、Dr. Tobias Schatton氏、Dr. Markus Frank氏であり、VAボストンヘルスケアシステム・ブリガム女性病院(VA Boston Healthcare System and Brigham and Women's Hospital)のDr. Natasha Frank氏や、ドイツのユリウス・マクシミリアン大学ヴュルツブルク(University of Wurzburg)のメンバー等が参加している。研究成果は、ジャーナルがん研究(journal Cancer Research)電子版(2011年6月7日付)に発表された。 

ハトは人間の顔や特徴や感情表現を、人間と全く同じような方法で認識することを明らかにする研究がアイオワ大学(UI)の2人の研究者によって実施され、米国の眼科領域の専門誌「Journal of Vision」(2011年3月31日号)に発表された。実験では、特徴の異なる人間の顔の写真や、不機嫌な表情や笑顔のような様々な感情を表している写真をハトに見せた。 

細胞は、その大切な内容物を保護することにかけては実に優れている。その結果、細胞を壊すことなく、医薬、栄養物、バイオセンサーなどを細胞膜壁を通して内部に届けることはきわめて難しい。その一つが、2008年に発見された効果的な方法で、純金のナノ粒子を特殊なポリマーの薄い層に包むという方法だった。しかし、なぜこの組み合わせがそれほどうまく働くのか、どのようにして細胞膜をくぐり抜けるのかについては誰も確実なことは分かっていなかった。 

遺伝子は私達一人一人の「個性」の創生を司っている。髪の毛の色から特定の病気に対する脆弱性まで、「個性」には様々な側面があるが、一体遺伝子はその生産物であるタンパクの合成を含め、どのようにコントロールしているのだろうか?この度、記憶を司る基礎的なプロセスに関与する新たな生体分子群が発見され、神経変性疾患の治療に新たな方向が示されたと思われる。 

兵庫県神戸市の理化学研究所 発生・再生科学総合研究センターの研究チームは、クローン羊のドリーを生み出したのと同じ技術を用い、正常な寿命を持ち、永久的にクローン化できる健康なマウスを生み出す方法を突き止めた。この研究報告は、2013年3月7日付「Cell Stem Cell」の巻頭を飾っている。若山照彦博士の率いるチームが2005年に始めた実験では、体細胞核移植 (SCNT) と呼ばれるテクニックを用い、オリジナルの「ドナー」マウスから25世代のクローニングを繰り返し、合計581匹のマウスを生み出した。 

DNAシーケンスによって遺伝子の変異を検知することは、がんの診断や治療法の選択に大変有用である。現行のDNAサンプルのテスト法では、とりわけサンガー法とパイロシーケンス法が使用されるが、時折、配列への読み替えが困難であったり出来なかったりする複雑な配列パターンが見受けられる。ジョンズ・ホプキンス大学医学部の研究グループは、そのような複雑な遺伝子変異配列パターンであっても、より正確に同定できるパイロメーカーというフリーソフトを開発した。 

1953年にフランシス・クリックとジェームズ・ワトソンがデオキシリボ核酸 (DNA) の二重らせん構造を発見した事が遺伝子工学の革命をもたらし、生命体を構成する単位をマップ化し、研究し、シーケンス化する始まりとなった。DNAは、世代間を継承される遺伝物質をエンコードしている。DNAにエンコードされた情報が、生命に必須のタンパク質や酵素として作り出されるためには、細胞のリボソームの中にある一本鎖遺伝物質のリボ核酸 (RNA) が仲介として機能しなければならない。RNAは通常一本鎖であるが、一部のRNA塩基配列はDNAのように二重らせん構造を作ることができる。 

西アフリカのエボラ出血熱ウイルス蔓延はこれまでで最大の規模になっているが、このウイルスが免疫系をすり抜けるテクニックは巧みである。しかし、セント・ルイスのWashington University School of Medicineその他の研究機関が参加する研究チームは、エボラ出血熱ウイルスが体の抗ウイルス防衛機能をすり抜ける方法を突き止めており、この疾患の治療法を新たに開発する糸口になることが期待されている。 

Scripps Research Institute (TSRI) の研究チームは、強力な新開発のDNA操作技術をこれまでよりさらに広い範囲にわたって適用する方法を考え出した。TSRI, Department of Chemistry, Molecular Biology Janet and Keith Kellogg II Chairであり、教授も務めるDr. Carlos F. Barbas IIIは、「これは現在の生物学の分野でもっともホットなツールだ。しかも、私たちの研究で、このツールをどんなDNA塩基配列にでも適用できる方法を考え出した」と述べている。 

一般的な脳卒中のリスクを高める遺伝子変異が、2012年2月5日付けのNature Genetics誌に記載された研究で明らかにされた。これは現在までに発見されている脳卒中関連の数少ない遺伝子変異の一つであり、この発見により新たな治療法の可能性が見えてきた。脳卒中は世界中の死亡原因の第2位(全死亡数の1/10に当たる、年間600万人)にあたり、先進国では慢性的障害の主要原因でもある。 

King's College Londonの研究者グループに率いられた国際的な科学者チームが眼球屈折異常や近視を引き起こす遺伝子を新たに24種類同定した。近視は世界中で失明や視覚障害の大きな原因になっており、現在のところ治療法はない。Nature Genetics誌2013年2月10日付オンライで発表された研究論文は、この形質の遺伝的原因を解明しており、より効果的な近視の治療法や予防法を開発する基礎になる可能性がある。 

一連の新しい造影剤により、腫瘍が悪性化する前の初期段階で「見る」ことが可能になるかもしれない。この化合物は酵素シクロオキシゲナーゼ−2(COX-2)のインヒビターに由来し、PETイメージングにも適用できるので、癌の検出、診断、および治療のための広範な用途の可能性を有する。バンダービルト大学の研究者達は、2011年10月号のCancer Prevention Research誌にこの新しい造影剤の説明を載せている。「これはCOX-2をターゲットとするPETイメージングで唯一、炎症や癌への適用が、動物モデルで実証された物なのです。」と、バンダービルト・ケミカルバイオロジー研究所の所長であり、今回の化合物開発チームのリーダーであるローレンス・マーネット博士は言う。 

長年、研究者はインシュリン産生膵ベータ細胞を再活性化することで糖尿病を治療する方法を探してきたが、ほとんど成果が得られていない。しかし、類似したアルファ細胞をベータ細胞に「リプログラミング」することで、いつか、2型糖尿病に対して、現在の治療法を補完する方向の新しい治療法が可能になるかも知れない。ヒトとマウスの細胞使って、細胞核内の染色質 (クロマチン) と呼ばれる物質を変化させる化学物質で処理するとアルファ細胞中でベータ細胞遺伝子が発現したという研究論文が、「Journal of Clinical Investigation」の2013年2月22日付オンライン版に掲載されている。 

自閉症スペクトラム障害(ASD)の原因となりうる環境因子が発見された。父親は母親に比べて4倍、障害を持つ子供に自然突然変異を伝達する可能性が高いのである。また、このような遺伝的変化は父の年齢の増加と共に増えていく。本研究はこれまでに証明されてきた父の年齢と自閉症リスクの関連性を説明するのに役立つであろう。このような遺伝子中のタンパク質コード領域におけるシーケンス変化は、ASDにおいて重要な役割をもつ。 

マサチューセッツ総合病院(MGH)のハーバード幹細胞研究所が発見したのは、嚢胞性線維症(CF)を治療する医薬品開発の道が、近い将来開けると思われる方法である。嚢胞性線維症は毎年1000人が発症し、500人の尊い生命を奪う疾患である。患者の皮膚の細胞から起こして、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を初めて作成し、これをヒト疾患特異的な機能性肺外皮へと導出する事に成功したのは、ジャヤライ・ラヤゴパル医師とその研究チームである。 

発見困難な染色体異常を検知する新しい方法を用いて、自閉症と関連付けられている33の遺伝子が同定された。内、22は初めて発見されたものである。さらにこれらの遺伝子の内複数は、統合失調症などの精神疾患患者において変化すると見られている。このような疾患の症状は思春期や成人期に出る事が多いのである。本研究は複数の研究チームによって行われ、研究結果は2012年4月19日付けのCell誌にオンライン掲載された。 

泥棒が銀行の金庫に進入すると、センサーが作動してアラームが鳴る。細胞は、侵入者のために独自の早期警戒システムを有している。フランス・グルノーブルのヨーロッパ分子生物学研究室(EMBL)の科学者達は、特定のタンパク質がウィルスの侵入を検出した際にアラームを鳴らす方法を発見した。2011年10月14日付のCell誌に掲載された今回の研究は、自然免疫反応についての理解を深めるのに重要な役割を果たし、インフルエンザや狂犬病、肝炎など多様なウィルスに対する細胞の迅速な対応方法の解明に寄与するであろう。 

Virginia Commonwealth University (VCU) Massey Cancer Centerの科学者チームによれば、これまでと違った新しいアプローチの免疫療法が臨床前の研究室段階で、転移性がんワクチンのように作用する見通しがつかめた。最近行われたその研究によると、療法は転移性がんの治療に適していると同時に既存のがん治療と並行して用いることができ、新しく転移した腫瘍の進行を防ぎ、特定の免疫系細胞を「訓練」してがんの再発に備えさせることができる。 

細胞膜の規則正しい構造がどのようにできるのかということについて、新しい仮説が注目されている。ドイツ連邦ポツダム市にあるMax Planck Institute of Colloids and Interfacesの科学者チームが、糖脂質と呼ばれる糖と脂質の複合体が、細胞膜においてどのようにしてそれ自体でラフト、つまり非常に規則的な微小な領域を持った構造物を形成することができるのかという謎を説明する仮説を提出している。植物や動物の細胞膜表面の糖脂質配列は様々な細胞プロセスを制御しているが、このプロセスにエラーが発生すると、発作性夜間ヘモグロビン尿症 (PNH) や牛海綿状脳症 (BSE) などの疾患が起きる。 

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