生命の暗号に新たな層を発見。希少コドンは細胞機構を制御する別の方法として役立つ可能性。
サイエンス出版部 発行書籍
異なる組織が遺伝子から情報を読み取る方法を新たに調べたところ、脳と精巣は、あるタンパク質を生成するために多くの異なる種類の遺伝暗号を用いることに非常に寛容であることが明らかになった。実際、ミバエとヒトの精巣では、めったに使われない遺伝暗号の断片を使ったタンパク質産物が豊富に含まれているようだ。この研究者らは、稀少な遺伝暗号の使用は、生殖能力と進化の革新に不可欠な、ゲノムのもう一つの制御層である可能性があるとしている。フランシス・クリックは、DNAがA、C、T、Gの塩基からなる二重らせん構造であることを解明してから10年後、これらの3文字が「コドン」というタンパク質を構成するアミノ酸1個のレシピに翻訳される中間段階を解読した。当時も今も不可解だったのは、この生命暗号の層では、わずか20種類のアミノ酸を生成するために61種類の3文字のコドンが使われていたことだ。つまり、同じものを表現するために、多くのコドンが使われていたのだ。 「生物学の授業では、コドンのあるバージョンから別のバージョンに変えてもアミノ酸が変化しないことをサイレント・ミューテーションと呼ぶと教わった。しかし、研究者がこれら全ての異なる生物の塩基配列を調べたところ、階層性があることが分かった。あるコドンは、本当に頻繁で、あるコドンは、本当に稀だ。そして、そのコドンの分布は、ある生物のある種の組織から別の組織へと変化しうるのだ。」と、デューク大学医学部の薬学および癌生物学の准教授であるドン・フォックス博士は述べている。 フォックス博士は、例えば、肝細胞が肝臓の働きをしたり、骨細胞が骨の働きをしたりする際に、この希少なコドンが何らかの役割を果たしているのではないかと考えた。そこでフォックス博士と、博士課程の学生スコット・アレン氏が率いる研究チームは、実験用のショウジョウバエのモデルであるメラノガスターを用いて、希
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