長年、生物学とバイオテック・エンジニアリングの分野で発明の才と先見の明を知られたDr. Hoodは、最近には将来の医薬、特にP4医療 (predictive [予測]、preventive [予防]、personalized [個別化]、participatory [患者参加]) の分野での活動のプレゼンテーションを行った。 Dr. Hoodは、「How Scientific Wellness Will Transform Healthcare (科学的ウエルネスが如何にしてヘルスケアのあり方を変えるか)」と題したプレゼンテーションで、彼自身の会社、Institute for Systems Biology (ISB) が、健康な社会を実現するため、西部7州で医療を行う米国内第3位の規模の医療団体であるProvidence St. Joseph Healthと提携し、同団体の患者に個別化医療を導入するまでの過程を概説した。 Dr. Hoodは、新興企業のArivaleとプロジェクトを開始した。そのプロジェクトでは、Providentの社員2,000人が定期的な健康コーチの指導を含む新しい「科学的ウエルネス」治療を受け、Arivale社は3年をかけてその2,000人のデータの分析を続け、標準的な療法を与えられたProvidentの社員2,000人のデータと比較する作業を行うことになっていると語った。 Dr. Hoodは、個別患者の「綿密で常時更新される個人データ・クラウド」を利用することで、健康を増進し、健康寿命を引き延ばすための基幹的な改善をもたらす「actionable possibilities」を割り出すことができるだろう、という考えを語った。 その原理の正しさの証明として、Dr. Hoodは、2014年の100 Person Wellness Proje
BGIのDr. Heは、中国のBGIが開発した新型DNAシーケンサーについて説明し、全ゲノム・シーケンシングの料金も現在の$1,000から、2020年頃には$100になっているだろうと予想している。 BGISEQ-500と名付けられたこの新しいシーケンサーは、先頃BGIが買収したシリコン・バレー企業、Complete GenomicsのCSOを務めるRade Drmanac, Ph.D.が開発した独自のDNAシーケンシング技術を搭載したベンチトップ・タイプの機器である。この技術は、DNAナノボールのナノアレーを用い、PCR問題もなく、超並列DNAシーケンシングが可能になっている。 Dr. Heは、全ゲノム・シーケンシングを安価に多くの人に提供できるようになれば、奇形児や先天性疾患の予知にも大きな進歩があり、人間の長寿化にも寄与することになる。 2017年1月18日付のForbes誌に掲載された、Benjamin Shobert筆のBGIに関する記事は、「Meet the Chinese Company That Wants to Be the Intel of Personalized Medicine (個別化医療界のインテル社的存在を目指す中国企業拝見)」と題されている。
Dr. Weissmanのプレゼンテーションは、「Immunotherapy: Immuno-Checkpoint Inhibitors and Beyond—Controlling Gene Expression with CRISPRi and CRISPRa (免疫療法: 免疫チェックポイント阻害薬とそれ以降、CRISPRiおよびCRISPRaによる遺伝子発現制御)」と題されている。 Dr. Weissmanの研究グループは、がん幹細胞進行の後期段階で非常に大きな発現が見られるタンパク質、CD47を発見した。現在はこのCD47をがん治療の目的で研究している。 プレゼンテーションは、触媒的にまったく不活性なCRISPR-Cas9の変形をベースに、任意の遺伝子の発現をオン (CRISPRa) またはオフ (CRISPR/i) と可逆的に切り替えられる堅実な技術を開発し、また、疾患の機序を理解し、医薬標的を判定し、さらには患者のDNAを永久に変えてしまうことなく、遺伝子発現を可逆的に調節する方法を用いた疾患治療などの目的にCRISPRi/aを利用することなどを内容としていた。
Dr. Doudnaは、細菌のCRIPSR獲得免疫系を強力なゲノム編集ツールとして利用することで大きな展開が可能になり、この技術を用いて、様々な生物の遺伝子を改変、調節、視覚化できるようになったことについて語った。
「炉端雑談部会」では、LabcyteのPresidentであり、CEOを務めるFischer-Colbrie氏が、GE Ventures, Health Care Ventures, Directorを務めるAlex de Winter, Ph.D.と、「How to Commercialize Disruptive Technlogies That Advance Personalized Medicine (個別化医療を発展させる破壊的技術の商業化について)」のテーマで語り合った。 特に興味深かったのは、リキッドハンドリングを可能にするLabcyte技術が音波を用いることで達成されたという話だった。 この方法で、ピペットを使う必要がなくなり、きわめて微量の液体を精密に取り扱い、コストを大幅に引き下げることができるようになった。さらに、「不正確なリキッドハンドリングでは精密医療を行うことは困難であり、その点でLabcyteはヘルスケアに大きな発展をもたらすキー・プレヤーになりえる」と語っている。 ちなみに、Fischer-Colbrie氏は、Juvenile Diabetes Research Foundation (JDRF), International Board of DirectorsのChairmanを務めている。
大成功をおさめたPMWC 2017は、PMWC Intl, Silicom Venturesの2人の共同創設者、Presidentを務めるTal Beharと、Chairmanを務めるGadi Beharの両氏の主催で開かれた。
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