新たな早期診断法として注目される呼気分析の動向について

 【目次】 早期診断の今日的課題/ スクリーニングの問題点/ 呼気分析と簡便さ/ 呼気分析総説/ 呼気分析による乳がんのスクリーニング例 【早期診断の今日的課題】 オンコロジーの領域では、腫瘍の発見時期が予後に大きく影響し、早期に見つける程予後が良好である事は、誰もが認めるところである。がんの種類によって早期診断の難易度は異なるが、一般には乳がんへのアプローチが進んでいると考えられる。乳がん遺伝子BRCA1/2を持つ場合は発症率が高いと言われ、乳がんの罹患率の高い欧米諸国では、女優のアンジェリーナ・ジョリーが予防的乳房切除を受けたように過剰とも思われる予防措置も現実になっている。これは、予防医学的に有効な早期診断の実際的な方策が十分に現実化されておらず、がんによる死亡率が一向に低下しない状況において、表面化してきた今日的課題であろう。     【スクリーニングの問題点】 乳がんにおいてマンモグラフィーによるスクリーニング検診は一世を風靡した感があったが、昨今は状況が変化してきている。2009年、USPSTF(米国予防医療専門委員会)はマンモグラフィー検診について「SCREENING FOR BREAST CANCER USING FILM MAMMOGRAPHY」という勧告書を発表し、血縁者に乳癌患者がいない40〜49歳の女性はマンモグラフィー検診の利点と危険性について主治医と話し合ったうえで個々に受診するかどうか判断すべきであるとした。これは、40代女性では検診の偽陽性率が高く不要な過剰検査(各種X線診断による被曝や針生検)を低減させるためである。 つまり今日的課題の解決には、侵襲性が低く、多くの対象者が簡便に受ける事ができるスクリーニング検診の開発が待たれているという事である。 【呼気分析と簡便さ】 オーストラリア・クイーンズランド州にあるPrince