【2026年版】CTC解析装置・キット徹底比較セレクトガイド | 価格・原理・精度で選ぶおすすめ製品
がん研究の最前線であるリキッドバイオプシーにおいて、CTC(血中循環腫瘍細胞)の解析は、転移メカニズムの解明や個別化医療の実現に不可欠です。しかし、血液1mL中に数個しか存在しないCTCを捉えることは、依然として技術的な困難を伴います。
多くの研究者が直面しているのは、「回収率を上げようとすると純度が下がる」「純度を優先するとCTCを取り逃がす」というジレンマです。また、ダウンストリームで培養やシングルセル解析(NGS)を行いたい場合、分離プロセスによる細胞へのダメージも無視できません。
本ガイドでは、2026年現在の最新技術動向を踏まえ、あなたの研究目的(エンドポイント)に最適なソリューションを選定するための基準と、主要製品の比較情報を解説します。
ヒトiPS細胞由来心筋シートの問題点を克服・CellArray-Heart 35mm ディッシュ
機能的・形態的に成熟した細胞を作製可能 CellArray-Heart™で配向培養したヒトiPS細胞由来心筋細胞では、成熟した...
1. 製品選定の決定的な5要素
スペック表を見る前に、以下の5つの基準を明確にすることで、候補製品を絞り込むことができます。
① 捕捉原理:抗体依存か、ラベルフリーか
最大の違いは「何を標的にするか」です。
- 抗体法(CellSearchなど):EpCAMなどの表面抗原を利用します。確実性は高いですが、EMT(上皮間葉転換)を起こしてマーカーが消失した細胞を取り逃がすリスクがあります。
- 物理的性質法(Parsortixなど):細胞のサイズや変形能を利用します。抗原発現に依存しないため、包括的なCTC捕捉が可能ですが、大型の白血球が混入する可能性があります。
② 細胞の生死(Viability):培養は必要か
分離後の細胞をどうしたいかが重要です。
- 固定:予後予測やカウントだけなら固定細胞で十分です(CellSearchなど)。
- 生細胞:薬剤感受性試験やオルガノイド形成を目指すなら、細胞にダメージを与えない(低せん断応力)システムが必要です(On-chip Sort, Parsortix)。
③ 純度(Purity):NGS解析の成否を分ける
次世代シーケンサー(NGS)を行う場合、白血球由来の野生型DNAの混入はノイズとなり、検出感度を著しく下げます。シングルセルレベルでのピッキングが可能な装置(RareCyte)や、極めて純度の高いソーティング技術が求められます。
④ スループットと自動化:時間は買えるか
臨床研究で数百検体を扱う場合、マニュアル操作は人的ミスの温床となります。自動化装置は初期投資が高額ですが、再現性と人件費削減の観点からは有利です。一方、少数検体の基礎研究であれば、安価なマグネットキットで十分な場合もあります。
⑤ コスト(CapEx vs OpEx):予算の使い道
- 初期投資(CapEx):装置導入に数千万円出せるか、数万円のマグネットで済ませるか。
- ランニングコスト(OpEx):専用チップや試薬が高い場合、長期的な負担となります。
ScreenCell CTC(⾎中循環腫瘍細胞)回収⽤フィルターキット
単純操作で安全にCTCを回収 使い方は非常にシンプル!採血管に採った全血をフィルター上部に添加した状態でフィル...
2. 【2026年最新】主要CTC解析製品 徹底比較表
主要な競合製品の仕様を整理しました。価格感や特性を一目で比較できます。
| メーカー名 | 製品名 | 捕捉原理 | 特長 (メリット) | 課題 (デメリット) | 価格帯目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| Menarini | CellSearch® | 抗体磁気分離 (EpCAM) |
FDA承認の臨床実績。データの標準化が可能。 | 生細胞回収不可。 EpCAM陰性は不可。 |
高額 (装置必須) |
| ANGLE plc | Parsortix® | マイクロ流体 (サイズ) |
ラベルフリーでEMT細胞も捕捉。生細胞回収・培養向き。 | フィルター詰まりのリスク。 大型白血球の混入。 |
高額 (約1300万円~) |
| On-chip Bio | On-chip Sort | マイクロ流体 + フローサイト |
ダメージフリー。使い捨てチップでコンタミゼロ。培養・NGSに最適。 | 処理速度は通常のFACSより遅い。 | 高額 (1000~5000万円) |
| RareCyte | CyteFinder | 密度勾配 + 画像解析 |
全回収 + ピッキング。ロスが極小で、確実なシングルセル化が可能。 | 処理工程が多い。 専用スライド作成の手間。 |
高額 |
| Stemcell | EasySep™ | 磁気分離 (キット) |
低コスト。装置不要で即導入可。短時間処理。 | 純度・回収率が手技に依存。 多検体処理は大変。 |
低 (マグネット数万円~) |
※価格は地域や構成により変動するため、必ず各代理店へ見積もりを依頼してください。
薬剤の心毒性評価に最適・CellArray-Heart 96ウェルプレート
機能的・形態的に成熟した細胞を作製可能 CellArray-Heart™で配向培養したヒトiPS細胞由来心筋細胞では、成熟した...
3. 目的別おすすめ製品ランキング
研究者のニーズ(Use Case)に合わせた推奨製品です。
👑 最高精度・NGS解析部門:RareCyte
理由:「目で見た細胞をそのまま取る」という確実性があります。スライドガラス上の全細胞をスキャンし、AIで同定した細胞を物理的にピッキングするため、1細胞レベルの純度が保証されます(Pure Single Cell)。遺伝子解析におけるノイズ混入を極限まで防ぎたい場合に最適です。
👑 細胞培養・機能解析部門:On-chip Sort
理由:一般的なセルソーター(FACS)と異なり、細胞にダメージを与える高圧や電荷を使いません。マイクロ流路チップごと交換できるため、検体間のクロスコンタミネーションリスクがゼロです。希少なCTCを「生きたまま、元気な状態で」回収し、培養成功率を高めます。
👑 コストパフォーマンス・スクリーニング部門:EasySep
理由:圧倒的な導入ハードルの低さが魅力です。専用装置が不要で、マグネットさえあれば実験台の片隅ですぐに始められます。CD45 Depletion(白血球除去)キットを使えば、抗原に依存しないネガティブセレクションが可能です。まずは低予算で予備実験を始めたいラボに向いています。
4. Q&A:導入前によくある疑問(FAQ)
Q1. マイクロ流路デバイス(Parsortix等)で「詰まり」は起きませんか?
A. 起きる可能性があります。特に全血を直接流す場合や、フィブリン析出がある場合にリスクが高まります。推奨される専用採血管を使用するか、事前に適切なバッファーで希釈することが重要です。サンプルの前処理(Pre-analytical)の質が安定稼働の鍵です。
Q2. マニュアル法(EasySep等)で純度が上がりません。
A. 洗浄不足や非特異的吸着が原因のことが多いです。マグネットへの静置時間を厳守する(短すぎると分離不足)、抗体カクテルの濃度を最適化する、あるいは低温(4℃)で操作することで改善する場合があります。また、採血後24時間を過ぎると顆粒球が活性化して粘着性が増すため、鮮度の良い検体を使用することが鉄則です。
Q3. 抗体法ではEMT(上皮間葉転換)細胞が取れないというのは本当ですか?
A. はい、EpCAM依存的な方法では、悪性度が高くEpCAM発現が低下した細胞を見逃すことがデータで示されています。EMT細胞を狙う場合は、物理的性質で分離するParsortixや、CD45ネガティブセレクションを採用するEasySep、あるいはOn-chip Sortのようなラベルフリー技術の検討を強く推奨します。
Q4. 日本国内でのサポート体制はどうなっていますか?
A. 主要メーカーは国内代理店を持っています。RareCyteは住商ファーマインターナショナル、On-chip Sortは日本企業(オンチップ・バイオテクノロジーズ)のため手厚いサポートが期待できます。EasySepはベリタスなどが取り扱っており、Parsortixも国内で入手可能です。
免責事項: 正確な価格や最新仕様については、各メーカーまたは正規代理店にお問い合わせください。