ヒト網膜色素上皮の単一細胞マップが失明疾患の正確な治療法を進展させる可能性
サイエンス出版部 発行書籍
米国国立眼科研究所(NEI; National Eye Institute)の研究者らは、人間の視覚認識にとって重要な網膜の組織を構成する細胞の間に、明確な違いがあることを発見した。NEIの研究者らは、網膜の光を感じる視細胞を養い支える組織である網膜色素上皮(RPE; retinal pigment epithelium)に5つの亜集団があることを発見した。研究チームは、人工知能を用いてRPEの画像を1細胞単位で解析し、眼球内の各集団の位置を示す参照マップを作成した。この研究報告は、2022年5月6日、PNASに掲載された。この論文は「ヒト網膜色素上皮の単一細胞分解能マップが疾患感受性を異にする部分集団の発見に役立つ(Single Cell-Resolution Map of Human Retinal Pigment Epithelium Helps Discover Subpopulations with Differential Disease Sensitivity)」と題されている。 米国国立衛生研究所(NEI)のディレクターである マイケル・F・チェン医師は、「これらの結果は、異なる RPE 細胞の亜集団と網膜疾患に対する脆弱性を理解し、それらを治療するための標的治療法を開発するための初めての枠組みを提供するものだ」と述べている。 また「この研究結果は、特定の変性性眼疾患に対するより精密な細胞治療や遺伝子治療の開発に役立つだろう」と、この研究の主任研究者で、NEI 眼球・幹細胞トランスレーショナルリサーチセクションを率いるカピル・バルティ博士は述べている。 視覚は、目の奥の網膜に並ぶ杆体および錐体の光受容体に光が当たることで始まる。光受容体が活性化すると、他の網膜神経細胞の複雑なネットワークを介して信号が送られ、視神経に収束した後、脳のさまざまな中枢に送ら
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