免疫力の老化を食い止める鍵、胸腺を若返らせるホルモン「FGF21」を発見

免疫力の老化を食い止める鍵、胸腺を若返らせるホルモン「FGF21」を発見

「年を取ると免疫力が落ちる」、それは仕方のないことだと諦めていませんか?その常識を覆すかもしれない重要な発見がありました。テキサス大学ヘルスサイエンスセンター・サンアントニオ校の科学者たちが、加齢とともに衰える免疫の司令塔「胸腺」の機能を維持する鍵となる経路を発見したのです。その主役は、FGF21と呼ばれるホルモン。生涯にわたって若々しい免疫システムを保つ未来への、大きな一歩となるかもしれません。この発見は、2025年2月19日付の学術誌『Nature Aging』に掲載されました。 研究は、T細胞を調節し、時間とともに胸腺の大きさを維持する可能性のあるペプチドホルモン、線維芽細胞増殖因子FGF21(fibroblast growth factor FGF21)に焦点を当てています。論文のタイトルは「Paracrine FGF21 Dynamically Modulates mTOR Signaling to Regulate Thymus Function Across the Lifespan.(生涯を通じた胸腺の機能調節:パラクラインFGF21によるmTORシグナル伝達の動的な制御)」です。 胸骨の裏、胸の上部にある小さな腺である胸腺は、体内のT細胞が感染と戦うように訓練する、いわば「免疫の学校」として、免疫システムにおいて極めて重要な役割を果たします。しかし、胸腺は年齢とともに縮小し、これが成人期における免疫力低下の一因となります。マウスモデルを用いた実験では、FGF21を増やすことで胸腺の大きさと機能の両方が維持され、より多様なT細胞が発達できるようになりました。 「この研究は、生涯にわたって強力な免疫応答を維持する方法を開発する上で、極めて重要になる可能性があります」と、テキサス大学ヘルスサイエンスセンター・サンアントニオ校の微生物学・免疫学・分子遺伝

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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