新たなRNAコドンの拡張:合成アミノ酸を活用したタンパク質設計

生物学の基本原則である「タンパク質は20種類のアミノ酸から構成される」という枠を超え、タンパク質工学の分野に革新がもたらされました。スクリプス研究所の科学者らは、RNAのコドンを4つのヌクレオチドで構成する新手法を用いて、非標準アミノ酸(non-canonical amino acids)をタンパク質に簡単に組み込む方法を開発しました。この研究結果は、2024年9月11日にNature Biotechnologyに発表されました。

従来の課題を克服する新手法

タンパク質を合成する際、RNAの3つのヌクレオチド(コドン)が1つのアミノ酸に対応します。しかし、これを改変し、新たなアミノ酸を加えるには、通常、ゲノム全体を編集する必要がありました。この方法は時間やコストがかかり、細胞の安定性やタンパク質合成に影響を及ぼすリスクがありました。

本研究を主導したアフメド・バドラン博士(Ahmed Badran, PhD)は、「今回の方法は、細胞のゲノムを編集せずに、特定の遺伝子だけを操作して非標準アミノ酸を組み込む効率的な手法です」と述べています。

新しい4ヌクレオチドコドンの特性

研究チームは、自然界で細菌が薬剤耐性を獲得する際に4ヌクレオチドコドンが進化することに注目し、これをタンパク質設計に応用しました。コドン周辺の配列や頻繁に使用される3文字コドンが、4文字コドンの読み取り効率を向上させる鍵であることを発見しました。

さらに、チームは12種類の4ヌクレオチドコドンを利用し、100種類以上の環状ペプチド(マクロサイクル)を設計。その中には最大3つの非標準アミノ酸が含まれるものもありました。

実用性と応用の可能性

バドラン博士は、「この方法により、新しい小分子医薬品の開発やタンパク質再設計が容易になり、医薬品創出や製造、化学センシングなど多岐にわたる分野での応用が期待されます」と述べています。また、非標準アミノ酸の種類を大幅に増やせるため、従来の方法に比べて柔軟性が高いとも強調しました。

著者と資金提供

本研究には、アラン・コステロ氏、アレクサンダー・ピーターソン氏、デイビッド・ランスター氏、ジイー・リー氏(全員スクリプス研究所)およびプリンストン大学のガブリエラ・カーバー氏が参加しました。

[News release] [Nature Biotechnology abstract]

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