乾癬(かんせん)は、世界中で何百万人もの人々に影響を及ぼす、痛みと不快感を伴う炎症性皮膚疾患です。この疾患は、病原体や感染から身体を守る免疫細胞の活動によって悪化します。ケース・ウェスタン・リザーブ大学医学部の研究者らは、新たな研究において「NF-kB c-Rel(エヌエフ・カッパビー・シーレル)」というタンパク質が、体内の免疫系からのシグナルによって活性化されると、乾癬の症状を悪化させる可能性があることを明らかにしました。研究者らは、この「c-Rel(シーレル)」が皮膚の炎症にどのような影響を与えるのかを理解することで、新たな治療法の開発につながると述べています。
この研究は、2024年11月24日に『eBioMedicine』誌に掲載され、「NF-κB c-Rel Is a Critical Regulator of TLR7-Induced Inflammation in Psoriasis(NF-κB c-RelはTLR7誘導性乾癬炎症の重要な制御因子である)」というタイトルのオープンアクセス論文として公開されました。研究では、免疫細胞の一種である樹状細胞(DC: dendritic cells)の機能にc-Relがどのように関与しているのかが検討されました。さらに、「TLR7(トール様受容体7: Toll-like receptor 7)」という、自然免疫と炎症を制御する受容体を通じた免疫シグナルに対して、c-Relがどのように応答するのかを調べ、乾癬の悪化にどのように関与しているのかを探りました。加えて、研究者らはc-Relが欠損している場合、赤く鱗屑(りんせつ)状の皮膚症状を引き起こす炎症が軽減されることも明らかにしました。
「c-RelおよびTLR7に注目することで、科学者らが炎症を抑え、乾癬の症状を改善するような、より標的を絞った治療法を開発できる可能性があります」と述べたのは、本研究の責任著者であるパラメスワラン・ラマクリシュナン博士(Parameswaran Ramakrishnan, PhD)です。ラマクリシュナン博士は、ケース・ウェスタン・リザーブ大学病理学部の准教授であり、ケース総合がんセンターおよびルイス・ストークス・クリーブランド退役軍人医療センターの研究者でもあります。「この研究は、皮膚の炎症に苦しむ数百万人の人々の不快感を和らげる助けとなるかもしれません」と語っています。
研究チームは、乾癬患者の皮膚サンプルおよび類似した皮膚変化を示すマウスモデルを用いて解析を行いました。c-Relタンパク質を欠損させた特殊な細胞での挙動や、c-Relを持たないマウスモデルでの反応を分析することで、乾癬における免疫応答に対するc-Relの影響を詳しく調べました。
「私たちの研究では、c-Relが乾癬の炎症において主要な役割を果たしていることが示されました」と述べたのは、筆頭著者であり、最近ケース・ウェスタン・リザーブ大学医学部病理学科を卒業したアンジェラ・リウ(Angela Liu)さんです。「乾癬患者の皮膚ではc-Relのレベルが高く、また、c-Relを欠損しているマウスは乾癬の発症から大きく保護され、炎症も大幅に軽減されました。」
ラマクリシュナン博士は、今回の研究によってヒト乾癬におけるTLR7およびc-Relシグナル伝達の潜在的な役割が明らかになったと述べました。TLR7を活性化するさまざまなウイルス、たとえばヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、およびC型肝炎ウイルス(HCV)は、乾癬の発症と関連づけられています。
「今回の研究は、TLR7–c-Rel依存的な分子機構がどのようにして樹状細胞(DC)の機能を調節しているか、そしてその機構がウイルスによるTLR7活性化と乾癬の悪化との間の関連性に関与している可能性があることを示すものです」とラマクリシュナン博士は述べています。「より広い視点から見れば、c-RelおよびTLR7が関与する他の生物学的に重要な疾患、たとえば全身性エリテマトーデス(SLE)や糖尿病における創傷治癒などにおいて、これらの分子の役割をさらに探求することも興味深い課題です。」
写真:筆頭著者 アンジェラ・リウ(Angela Liu)


