ドイツのBonn Universityの研究グループと国際的な共同研究チームが、新しい受容体を発見した。現代人類が持っているこの受容体は危険な侵入物を判定し、免疫反応を発揮するために重要な器官である。この有益な器官の青写真はネアンデルタール人の骨のゲノムからも見つかっており、その起源がうかがわれる。この受容体が初期の人類に風土病に対する免疫を与えた。

 

しかも、初期の人間にこの受容体が見つからず、現代ヨーロッパ人からは見つかるということは、現代ヨーロッパ人がこの受容体をネアンデルタール人から受け継いだ可能性を示している。この研究論文は、2013年11月8日付「Journal of Biological Chemistry」オンライン版に掲載されている。
病原体が人体に感染すると、免疫系が危険な侵入物を判定し、これを攻撃する。進化の過程で効果的な防衛機能が発達したが、これは諜報機関員の方法とやや似たところがある。


ヒト白血球抗原 (HLA) 系は、特定の遺伝子の助けを借りて受容体を作り、その受容体がアミノ酸8個からなるプロフィールを使って病原体の危険度を評価する。University of Bonn, Department of Immunobiology, Institute for Geneticsの教授を務めるDr. Norbert Kochは、「この機能は、スパイが単語のごく少数の文字からその文を怪しいと判断することに似ている」と述べている。このメッセージを解読するため、免疫系は侵入者のタンパク質をペプチドに分解し、さらにそのペプチドの一部をスキャンしてアミノ酸の配列を調べることもする。これまでのところ、3種類のペプチド受容体が1000を超える発現形態を示すことが知られており、これが病原体の身元証明になる文字組み合わせを読み取る機能を果たしている。Professor Kochは、「免疫系が人体に害をもたらす病原体スペクトラム全体のリスク評価をするためにはこのような幅広い発現が必要になる」と述べている。

University of Bonnの免疫生物学者らが指導する、University of Dusseldorf、Technical University of Munich、Jacobs University Bremen、Cambridge Universityの国際的研究チームの手でさらに4番目の受容体が突き止められた。この受容体は、すでに知られている受容体の構成部分の組み合わせでできており、"HLA-DRaDPb”という略称で呼ばれている。研究者チームは、発見された受容体をエンコードしている遺伝子塩基配列をデータベースと比較し、ヨーロッパ人の3人に2人はこの重要な器官を持っていると推定している。Professor Kochの学生の一人がProfessor Koch自身のDNAのシーケンシングを試し、この受容体の青写真を持っていることを突き止めている。

ところが、人類発祥の地と知られているアフリカの南部の住民の間ではこの受容体をつくるのに必要な遺伝子塩基配列が非常にまれであることを知って研究者らは驚いた。Professor Kochは、「現代人類の祖先にあたる初期の人間が何十万年か前にアフリカからヨーロッパに移動してきた頃にはまだこの受容体を持っていなかった」と述べている。2010年、ライプツィッヒ所在Max Planck Institute for Evolutionary Anthropologyの教授を務めるDr. Svante Paaboが指導してネアンデルタール人のゲノムのシーケンシングを行い、発表した。さらに、研究グループは、初期人類の一グループであるネアンデルタール人が受容体の青写真になる基本的な遺伝子塩基配列を持っていたかどうかを調べた。この実験的な作業で主要な役割を果たしたDr. Sebastian Temmeは、University of Dusseldorfの同僚と協力し、ネアンデルタール・データベースから入手した骨の小片からネアンデルタール人のゲノム塩基配列を解析、編集した。

Professor Kochは、「ネアンデルタール人の遺伝子塩基配列は現代人類のそれとほぼ同一だ」と述べている。ネアンデルタール人は何十万年もヨーロッパに生活し、その間に様々な病原体に対する免疫をつけるHLA受容体を発達させたものと考えられる。このことはアフリカを起源とする現代人類の先祖と違って、ヨーロッパに住んでいたネアンデルタール人がその免疫細胞中にこの受容体を持っていたことを意味する。Professor Kochは、ヨーロッパの現代人がこの優れた受容体を獲得できたのはネアンデルタール人のおかげだと考えており、「紛れもなく進化の過程で得られた優位性」だと述べている。画像はHLA抗原。

■原著へのリンクは英語版をご覧ください: Key Immunity Gene Discovered in Neanderthals

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