自己免疫疾患治療の未来:新酵素CU43の画期的な発見

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筋強直症や自己免疫疾患治療への新たな可能性を示す酵素の発見 エモリー大学の研究者を中心とする国際共同研究チームは、2024年10月21日付で科学誌Cellに発表された論文「Potent Efficacy of an Ig-G Specific Endoglycosidase Against IgG-Mediated Pathologies(IgG媒介性疾患に対するIgG特異的エンドグリコシダーゼの強力な有効性)」において、新しい酵素が自己免疫疾患の治療に役立つ可能性を示しました。この研究は、筋強直症(Myasthenia Gravis, MG)のような自己免疫疾患や他のIgG抗体が原因となる疾患(IgG媒介性疾患)の治療において、エンドグリコシダーゼ「CU43」が特に効果的であることをマウスモデルを用いて明らかにしました。 筋強直症とは? 筋強直症は、抗体が神経と筋肉の間の信号伝達を妨げることで、骨格筋の脱力を引き起こす慢性自己免疫疾患です。この疾患では、複視、嚥下困難、さらには深刻な呼吸困難を含むさまざまな症状が現れます。このような自己免疫疾患やIgG抗体の調節ができないことによる他の疾患群を総称して「IgG媒介性疾患」と呼びます。 研究の主な成果 本研究では、CU43という特定の酵素がIgG媒介性疾患の症状を劇的に軽減する可能性があることが分かりました。この酵素は抗体を修飾し、疾患を引き起こさない形に変化させることができます。エモリー大学医学部のエリック・サンドバーグ博士(Eric Sundberg, PhD)は、「ヒトの抗体は病原体との免疫応答において重要な役割を果たす一方で、自己免疫疾患の原因にもなり得ます。この酵素は抗体を修飾し、疾患の原因とならないようにすることが可能です」と述べています。 高い治療効果と低用量の利点 マウスモデルでの実験におい
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