16世紀の船員の骨に刻まれた歴史:加齢と利き手が骨化学に与える影響を解明

16世紀の船員の骨に刻まれた歴史:加齢と利き手が骨化学に与える影響を解明

サイエンス出版部 発行書籍

骨の化学変化と利き手の関係に迫る:16世紀イギリス軍艦メアリー・ローズ号の人骨研究が現代の健康科学に新たな知見を提供 2024年10月30日、英国ランカスター大学のシオナ・シャンクランド博士(Dr. Sheona Shankland)をはじめとする研究チームは、16世紀のイギリス軍艦メアリー・ローズ号から発掘された人骨を用いた新たな研究結果を、オープンアクセスジャーナル「PLOS ONE」に発表しました。論文のタイトルは「Shining Light on the Mary Rose: Identifying Chemical Differences in Human Aging and Handedness in the Clavicles of Sailors Using Raman Spectroscopy(メアリー・ローズ号を照らす光:ラマン分光法を用いた船員の鎖骨における加齢と利き手の化学的差異の特定)」です。 歴史的背景と研究の概要 メアリー・ローズ号はヘンリー8世治下のチューダー王朝海軍の一部であり、1545年7月19日にソレント海戦でフランス艦隊と交戦中に沈没しました。20世紀後半に発掘されたこの船の遺物や乗組員の遺骨は、保存状態が非常に良好で、多くの研究対象となってきました。今回の研究では、この船とともに沈んだ13歳から40歳の12人の男性の骨に焦点を当て、骨の化学的変化が加齢や身体活動にどう影響されるのかを探りました。特に、骨の化学組成がその人のライフスタイルの手がかりとなり得るという仮説を立てています。研究チームは、非破壊的なレーザー技術であるラマン分光法を用いて、人間の鎖骨の有機タンパク質と無機ミネラルの化学組成を分析しました。この手法により、骨の化学的変化を損傷することなく明らかにすることが可能です。 鎖骨化学組成の発見 分析の結果、1

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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