細胞外小胞に含まれる因子を含む間葉系間質細胞からの分泌因子が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌スーパーバグによる感染症の治療に有望であることが示された
サイエンス出版部 発行書籍
2021年9月16日、STEM CELLS Translational Medicine(SCTM)誌のオンライン版に掲載された、コーネル大学獣医学部の一部であるベイカー・インスティテュート・フォー・アニマル・ヘルス(ニューヨーク州)の研究者らによるex vivoモデルでの研究において、幹細胞の一種である間葉系間質細胞(MSC)の分泌物で傷を治療することで、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MSRA)の生存率を効果的に低下させ、周囲の皮膚細胞を刺激して細菌に対する防御力を高めることができることが報告された。このオープンアクセス論文は、「間葉系ストローマ細胞が分泌するCCL2は、角化細胞における抗菌ペプチドの発現増加を介して抗菌防御機構を促進する(Mesenchymal Stromal Cell Secreted CCL2 Promotes Antibacterial Defense Mechanisms Through Increased Antimicrobial Peptide Expression in Keratinocytes)」と題されている。 米国疾病対策予防センター(CDC)の最新の統計によると、2017年、米国では11万9,000人以上の人が黄色ブドウ球菌(S. aureus)と呼ばれる細菌による血流感染症にかかり、2万人近くが死亡した。黄色ブドウ球菌は、免疫力の低下した患者や傷口が感染した環境など、特定の状況下で脅威となる可能性があり、また、現在、細菌感染症の治療に使用できる唯一の薬である多くの抗生物質に対して耐性を持っていることから、大きな医療問題となっている。しかし、今回の研究では、最も危険な菌の1つであるMRSAを治療するための新たな方法が示されたことで、この状況を変えることができるかもしれない。 多くの人がMRSAを保有していても深刻な影響はない
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