若いマウスの血液小胞が老化を逆転:新たな治療法の可能性
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老化を逆転させる新たな方法として、若いマウスの血液から得られる小型細胞外小胞(sEVs)が注目されています。ナンジン大学のチームが発表した最新の研究では、このsEVsが高齢マウスの寿命を大幅に延ばし、全身の生理機能を若返らせる効果が確認されました。 ナンジン大学のチャン・チェンユー(Chen-Yu Zhang)、シー・チェン(Xi Chen)、ヤンボー・ワン(Yanbo Wang)、レイ・ファン(Lei Fang)らの研究チームは、2024年4月16日に「Small Extracellular Vesicles from Young Plasma Reverse Age-Related Functional Declines by Improving Mitochondrial Energy Metabolism(若い血漿からの小型細胞外小胞がミトコンドリアのエネルギー代謝を改善することで加齢に伴う機能低下を逆転させる)」というタイトルの論文をNature Agingに発表しました。研究チームは、若いマウスの血液から採取した小型細胞外小胞(sEVs)を週に一度、20ヶ月齢のオスのマウスに注射しました。その結果、これらのマウスの寿命は中央値で1031日(通常のC57BL/6Jオスの寿命840日から22.7%延長)に延び、最長で1266日(人間に換算して120〜130年)生存しました。さらに、sEVsの静脈注射は高齢マウスの老化表現型を軽減し、海馬、筋肉、心臓、精巣、骨などの多くの組織での加齢に伴う機能低下を改善しました。 研究の詳細と意義 sEVsの寿命延長効果 若いsEVsは、寿命延長効果において最も効果的な若返り因子の一つとして注目されています。カロリー制限療法が中央値で978日(16.4%延長)を達成するのに対し、sEVsはそれを上回る効果を示しました。若い血
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