エクソソームを塗布したステントが血管損傷を治癒し、損傷した組織を修復する

2021
4月 28
(水)
09:00
臨床医学のバイオニュース

エクソソームを塗布したステントが血管損傷を治癒し、損傷した組織を修復する

ノースカロライナ州立大学の研究者らは、再開通した血管が狭くなるのを防ぐとともに、血液が不足している虚血組織に再生幹細胞由来の治療を行うことができる「スマートリリース」トリガーを備えたエクソソームコーティングステントを開発した。
この研究は、2021年4月5日にNature Biomedical Engineering誌のオンライン版に掲載された。この論文は、「虚血性傷害後の血管治癒のためのエクソソーム溶出ステント (Exosome-Eluting Stents for Vascular Healing After Ischaemic Injury)」と題されている。ノースカロライナ州立大学のポスドク研究員であるShiqi Hu氏(PhD)とZhenhua Li氏(PhD)が共同筆頭著者だ。

閉塞した動脈を開通させる血管形成術では、多くの場合、金属製のステントを留置して動脈壁を補強し、閉塞部分の除去後に動脈が崩壊するのを防ぐ。しかし、ステントを留置すると、通常、血管壁に傷がつき、その傷を修復しようと平滑筋細胞が増殖し、その部位に移動する。
その結果、血管形成術で開いた血管が再び狭くなってしまう「再狭窄」が生じる。この研究の責任著者であるKe Cheng博士は、「ステントが引き起こす炎症反応は、ステントの効果を低下させる可能性がある」と述べている。「理想的には、平滑筋細胞が過剰に反応して増殖するのを止め、内皮細胞がステントを覆うようにすることができれば、炎症反応が緩和され、再狭窄を防ぐことができるだろう」。
Cheng博士は、ノースカロライナ州立大学の再生医療におけるRandall B. Terry Jr.特別教授であり、ノースカロライナ州立大学/UNC-Chapel Hill合同の生物医学工学部門の教授でもある。現在、細胞の増殖を抑制する薬剤を塗布した薬剤溶出性ステントが使用されているが、このような抗増殖剤は、医療従事者がステントをコーティングしたい細胞である内皮細胞によるステントの被覆を遅らせてしまう。この問題を解決するために、Cheng博士のチームは、間葉系幹細胞(MSC)由来のエクソソームで構成されるステントコーティングを開発した。
エクソソームは、研究対象となっているあらゆる種類の細胞から分泌されるナノサイズの微小な小胞である。まず、エクソソームは細胞膜とあまり変わらない物質で構成されているため、ステントを「カモフラージュ」して平滑筋細胞や体内の免疫系を欺くことができる。2つ目は、エクソソームが内皮細胞によるステントの被覆を促進し、怪我をした場合には下流に移動して組織の修復を促進することである。

 

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