加齢と乳ガンリスク増加の細胞ベースの関連性
サイエンス出版部 発行書籍
乳ガンのリスクが50歳以上の女性において劇的に増加することは周知の事実であるが、増加における細胞生物学的な原因は謎であった。この謎に対するいくつかの答えが、米国エネルギー省(DOE)ローレンス・バークレー国立研究所(バークレー研究所)の研究チームによって発表され、将来的な予防対策の可能性も出てきたのである。 バークレー研究所の細胞・分子生物学者、マーク・ラバージュ博士によって率いられた研究により、老化によって多能性前駆細胞が増加することが示された。多能性前駆細胞は成体幹細胞の一種で、多くの乳ガンの原因であると考えられている。また、腫瘍抑制因子機能があると考えられている管腔細胞の基底となる筋上皮細胞が老化によって減少することも示された。「これは、乳ガンに対する年齢的な脆弱性の細胞生物学的な理由を理解するための大きな一歩です。老化プロセス間の上皮における細胞および分子的変化を定義し、これらを機能的にアッセイすることも可能である今、我々は老化によるこのような状態を回避、もしくはリバースさせる方法を模索するべきです。」と、著者であるラバージュ博士は語る。 本研究は2012年5月2日付けのCancer Research誌に掲載された。米国では毎年20万人以上の女性が浸潤性乳ガンと診断され、内約75%が50歳以上である。内分泌プロファイルや乳ガン細胞を取り巻く微小環境の変化を含む、加齢に伴う生理的変化は、ガンリスクの増加と関連付けられている。しかし、その背後にある基本的な細胞メカニズムの説明は無い。「サンプルへのアクセスが制限されるため、ヒト組織における老化過程を研究するのはとても困難なのです。老化過程の細胞または分子基盤を取得しようとした研究のほとんどはイーストやハエ、ワーム、およびマウスなどのモデルを使用しました。これらのモデルは寿命が短く、遺伝子がコントロールされている
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