副作用の非常に少ない新抗がん薬が、他の治療に失敗して後がないホジキンリンパ腫患者の生存率を劇的に改善している。ロヨラ大学医療センター腫瘍内科医、スコット・E・スミス博士(M.D., Ph.D.)が、この新薬ブレンツキシマブベドチン (Adcetris®)の生存データを17回欧州血液学会で発表した。スミス博士はロヨラ血液系腫瘍研究プログラムのディレクターである。この多施設共同研究は、幹細胞移植後に再発した102例のホジキンリンパ腫患者を含む。

 

患者の32%は腫瘍が無くなり、40%は少なくとも腫瘍が半分以下に縮小した。さらにこの他の患者の21%においてもいくらかの腫瘍の縮小が見られた。新薬への反応を示さなかったのは、患者のわずか6%であった。患者の65%は24ヶ月後も生存しており、その内25%はガンの進行が皆無であった。「これは、これまで予後が思わしくなかった患者にとって勇気付けられる結果です。」と、研究チームは語る。ロヨラの患者、ミシェル・サレルノはブレンツキシマブベドチン治療の前に二つの幹細胞移植(一つは自分の幹細胞を使用し、もう一つは兄弟から提供された細胞であった)および複数の化学療法に失敗していた。


しかし3、4回の輸液後、彼女は悪寒や発汗、および高熱と全身の痒みのような痛みから解放された。また、化学療法に共通する副作用もほとんど経験していない。「私は髪も保ち、嘔吐を感じたこともありません。輸液し、家に帰るととても快い感じがするのです。」と、彼女は語る。

標準的な療法は、30分の点滴を3週間毎行う。患者は通常、48週間で16用量受け取るのである。ヨロラはこれまで約500用量を患者60人に投与している。「我々の患者の多くはこの療法が効いています。」と、スミス博士は語る。ホジキンリンパ腫は免疫系の癌である。患者のほとんどは、特に初期段階で診断された場合、化学療法や放射線で治癒する。

ただし初期治療が失敗した場合、患者は自己幹細胞移植が必要となる場合がある。この移植では高用量の化学療法または放射線によって破壊された免疫系細胞を、患者自身の幹細胞で置き換えるのである。自己幹細胞移植を受ける患者の約50%は再発し、生存出来るのはその内凡そ10%である。

米国食品医薬品局(FDA)は昨年、自己幹細胞移植に不適格であるか失敗した患者、または二つの多剤化学療法に失敗した患者のためのブレンツキシマブベドチン使用を承認した。
ブレンツキシマブベドチンは強力な化学療法薬に付着している抗体である。この抗体はリンパ腫細胞に化学療法を運ぶ、ホーミング信号のような役割を果たす。「ブレンツキシマブベドチンはガンとの闘病において非常に興味深い、新しい概念を提示します。必要な場所―ガン細胞内―に強力な化学療法薬を送り込むのです。」と、患者サレルノを治療するロヨラ骨髄移植プログラム医療ディレクター、タリオ・ロドリゲス博士(M.D.)は語る。

ガン患者は、ガンそのものだけでなく化学療法によって衰弱する。ブレンツキシマブのような標的薬は、従来の化学療法による副作用から患者を救うことが出来る、とロドリゲス博士は述べる。

本研究では、ブレンツキシマブの副作用は一般的に軽度であることが判明した。患者のわずか9%が重篤な末梢神経障害を患い、2%が極度の疲労を示し、1%が重度の下痢を経験した。サレルノは、唯一経験した副作用は用量低下と共に去っていった軽度の神経障害であったと述べた。43歳の彼女はホジキンリンパ腫と10年闘病しており、治癒したわけではないが、「気分も生活の質も良好です」と述べている。

本治療は、サレルノがJoey Pouch™(ジョーイポーチ)販売のビジネスを始める起点となった。これは中心静脈カテーテルのルーメンを保持するために設計された小さく柔らかなポーチで、首または胸の横に着用される。患者の日常的な活動や就寝をより快適に出来るよう作られたものである。ジョーイポーチはサレルノの移植の際に幹細胞を提供してくれた兄弟、ジョーイにちなんで命名された。
 
ロドリゲス博士はサレルノのCTスキャンをする度、彼女にガンが寛解に向かっていることを伝えられることに計り知れない満足感を感じている。しかしすべての薬同様、ブレンツキシマブも潜在的な毒性を持っていることを警告している。「患者はこの薬の長所と短所について医師と話し合い、これを使用することが最善であるかを考察する必要があります。」と、ロドリゲス博士は忠告する。

■原著へのリンクは英語版をご覧ください:New Drug Dramatically Improves Survival in Hodgkin Lymphoma Patients

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