ショウジョウバエの遺伝子がガン治療薬に。
サイエンス出版部 発行書籍
ロヨラ大学シカゴストリッチ医学部の研究チームが、ショウジョウバエの遺伝子の特徴を生かした抗がん薬を開発している。新しく発見されたショウジョウバエの遺伝子は、癌発生およびいくつかの先天性欠損症において、重要な役割を持つ二つのヒト遺伝子の複合体に対応しているものである。このショウジョウバエの遺伝子が進化し、二つに分化されたのだ。 この分割のおかげで研究が容易くなり、そのおかげで新しい癌治療薬の開発が進むと考えられる。本研究は2012年6月1日付けのDevelopment誌に掲載された。「これは進化が我々に残したプレゼントです。」と、本研究の責任著者、アンドリュー・K・ディングオール博士は語る。本論文はその発見の重要性から、American Association for the Advancement of Science (AAAS)誌より出版されているScience Signaling誌の“エディターズ・チョイス”に選ばれた。正常細胞は、発達中に骨細胞や筋細胞など特定のタイプに分化し、整然とした方法で複製する。このプロセスは遺伝子やホルモンなどにより正しく制御されている。 これらの遺伝子の二つが、MLL2とMLL3である。対照的に、癌細胞は制御不能な分化と複製を繰り返す。2010年以来、複数の癌がMLL2およびMLL3の突然変異と関連していることが発見されており、それらには、非ホジキンリンパ腫、結腸直腸がん、腎臓がん、膀胱がん、そして髄芽腫などが含まれる。また、MLL2およびMLL3の突然変異が乳がんおよび前立腺がんに関与しているという証拠もある。これら2つの遺伝子は互いに似通っており、15,000個を超える塩基対で構成され、この数は一般的な遺伝子構造の10倍の大きさとなっている。これらの遺伝子は非常に大きく複雑なため、研究するのが困難なのである。ショウジョウバエ
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