受精の謎を解く!温度が精子を「過活性化」させるメカニズムを発見

受精の謎を解く!温度が精子を「過活性化」させるメカニズムを発見

精子の「温度スイッチ」を発見!不妊治療と男性用避妊薬開発に新たな光 人間の体温は約37℃。しかし、生命の誕生に不可欠な精子は、それより少し低い温度で最も活発になります。では、なぜ体温よりさらに温かい女性の体内で、精子は無事に卵子にたどり着けるのでしょうか?この長年の謎を解き明かす「温度スイッチ」の存在が、最新の研究で明らかになりました。この発見は、新たな避妊薬や不妊治療法の開発につながるかもしれません。 ワシントン大学医学部の研究によると、女性の生殖管のような温かい温度が、精子を活性化させる特定のシグナルを引き金となり、受精のために卵子へ侵入するために必要な、激しくねじれるような動きへと切り替えることが分かりました。この「引き金」の発見は、男性用避妊薬や男性不妊治療の新たな標的となる可能性があります。 マウスを用いた研究で、研究チームはすべての哺乳類に共通する特定のタンパク質が、周囲の温度が女性の生殖管の温度と一致したときに、精子を過活性化状態にすることを示しました。この発見は2025年4月17日に「Nature Communications」誌に掲載され、哺乳類の解剖学的構造の進化を説明する一助ともなります。このオープンアクセスの論文タイトルは「The Essential Calcium Channel of Sperm CatSper Is Temperature-Gated(精子に必須のカルシウムチャネルCatSperは温度によって開閉制御される)」です。 「精子の過活性化状態は受精成功の鍵ですが、温度がどのようにそれを引き起こすのかは誰も正確には知りませんでした」と、BJC研究員でありワシントン大学医学部の細胞生物学・生理学教授であるポリナ・リシュコ博士(Polina Lishko, PhD)は語ります。「私たちの研究は、受精の際にまさに必要とされるタイ

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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