2014年2月4日 (火)、The National Institutes of Health (NIH) は、「Accelerating Medicines Partnership (AMP)」を発表した。これは、過去1年半をかけて「The Boston Consulting Group (BCG)」のガイダンスに従って編成した新しい形の官民共同研究パートナーシップである。AMPは、難治性疾患の生物学的解明に対して組織的な投資をするという初めての事業で、その構想の当初から業界、研究者、政府がパートナーとして協力して体制つくりにあたってきた。
NIHのディレクター、Francis S. Collins, M.D., Ph.D. (写真) は、「これまであまりにも多くの金と時間を投入しながら、思うほどの成果が得られていない。一方で患者やその家族は新しい医薬や治療法を待ち続けている。バイオメディカル業界で誰もが思っているのは、これは一部門が単独で解決できることではなく、研究の効率を高めていくためには新しい体制でみんなが一致協力してやらなければならないということだ」と語っている。AMPは、NIH、世界的な医薬品メーカー10社、いくつかの非営利組織が共同で設立した機関で、アルツハイマー、2型糖尿病、リューマチ様関節炎、全身性紅斑性狼瘡の基本的病理の特徴づけの大規模な研究作業のために今後5年間で2億3,000万ドルを投資することになっている。
BCGは、AMP設立構想、組織編成、研究対象の疾患個々の詳細な研究計画などを支援できたことを喜びとしている。BCGのパートナーであり、このパートナーシップを可能にしたチームの共同リーダーも務めるMichael Ringel, J.D., Ph.D.は、「これまで多くの医薬が期待されながら研究開発段階でものにならずに終わった。その原因は、私たちが手を加えようとしている生命体を基本的に理解できていないということにある。AMPは、これらの疾患を本当に理解し、究極的により優れた医療を実現しようとすれば必要となる組織的な研究を目的として設立された」と語っている。
学界、産業、政府に所属するトップクラスの研究者が共通の使命を持ってこのAMPに集まった。その共通の使命とは、大規模な人間研究を積み重ね、各疾患の発症過程や、さらには疾患が患者ごとにどのように異なって現れるかについて理解を深めることである。このコンソーシアムを通じて行われる新しい研究の一つ一つが、ゲノミクスやプロテオミクスなどの分野での技術革新によって生み出されている新データをさらに補強することになる。BCGのパートナーで、パートナーシップを促進するチームの共同リーダーを務めるSarah Cairns-Smith, Ph.D.は、「このアプローチが期待をもてるのは、学界、産業、政府の科学者を一堂に集めることで様々なアイデアと技能を合同する過去に例のない協力体制を作り上げたこと。それによって、各部門間の連携が円滑に断絶なく確保され、患者に取っては新しい治療法を受ける機会がそれだけ早まることになる」と述べている。このパートナーシップによる研究作業のいくつかは、2年以内に初めての成果を発表することが予想されており、最初の5か年が過ぎる頃には、研究対象となる疾患に対する理解を深めるだけでなく、各疾患の症状が患者個人個人でどのように異なるかを把握し、それによって、異なる患者グループごとの創薬ターゲットについても理解を深めるような情報が蓄積されているはずである。
同日朝の記者会見で、Dr. Collinsは、「現在、研究室で医薬の開発を始めてから臨床的に患者に用いるようになるまでにはおよそ10億ドルの研究開発費と14年の歳月を要している」と語った。Dr. Collinsは、この新規の、しかも前例のないパートナーシップで集められたデータは、迅速にしかも自由に閲覧できるようになり、研究開発の過程を大幅に短縮できるようになるだろうと示唆している。また、Dr. Collinsは、パートナーシップの資金は、NIHと医薬品メーカーが50%-50%で負担することになっていると語っている。さらに取材陣の質問に答え、リューマチ様関節炎や狼瘡のような免疫系疾患研究は、単一細胞テクニックを利用し、疾患の分子レベルでの仕組みについて正確な理解を得ることを目標としていると語った。また、アルツハイマーについては、パートナーが、ターゲットとして、また疾患病理の情報として利用できる疾患関連バイオマーカの完全セットを作り上げることを考えている。
2型糖尿病については、パートナーシップ参加機関がナレッジ・ポータルを開き、この疾患に関する膨大な情報を検索しやすく、かつ分かりやすい形で提供することになっており、将来的にこの情報に基づいて処置可能になることが期待されている。記者会見には、Dr. CollinsとPfizer社の役員と共に狼瘡に悩む女性が紹介され、この新しいパートナーシップが彼女の将来に対する希望をもたらすこと、またこのパートナーシップが真っ先にこの疾患の解明への取り組みを発表したことは、同じ疾患に悩む全ての人々に希望をもたらすだろうと語った。
AMP設立に参加した医薬メーカーは次の10社: AbbVie、Biogen Idec、Bristol-Myers Squibb、GlaxoSmithKline、Johnson & Johnson、Eli Lilly and Company、Merck & Co.、Pfizer、Sanofi、武田薬品工業。このパートナーシップの発表は主要メディアで報道された。
■原著へのリンクは英語版をご覧ください: NIH Announces $230 Million "AMP" Partnership with Big Pharma to Accelerate Drug Development



