パニック障害に陥りやすさを招く遺伝子を発見
サイエンス出版部 発行書籍
2013年9月18日付Journal of Neuroscienceに掲載された研究論文は、初めて、遺伝子NTRK3 (neurotrophic tyrosine kinase receptor type 3、trkCとも呼ばれる) をパニック障害傾向の因子と突き止めた。研究チームは、恐怖記憶の形成に関わる機序を明らかにしており、新薬や認知療法の開発に役立つことが考えられる。パニック障害は不安障害の一種に分類されており、推定では、スペイン国民の100人に5人がこの障害に悩んでいる。 その人達は頻繁かつ突然にパニックに襲われるため、日常生活にも影響があり、重症の場合には買い物や自動車運転、職に就くことさえできなくなる。この障害には神経生物学的原因と遺伝学的原因があることは知られているが、どの遺伝子が障害の発症に関わっているのかが研究されたこともあり、特定の遺伝子が原因ではないかと挙げられたこともあるが、それでも生理病理学的な仕組みはまったく解明されていなかった。今回初めて、Centre for Genomic Regulation (CRG) の研究チームが、脳の形成やニューロンの生存とニューロン同士の接続に不可欠なタンパク質のエンコーディングを担当している遺伝子NTRK3とパニック障害との関連性を明らかにし、この遺伝子がパニック障害になりやすい性質の遺伝的因子であることを突き止めた。 CRGのCellular and Systems Neurobiology groupの長を務めるDr. Mara Dierssenは、「NTRK3の調節が失われると脳の発達に変化が起き、恐怖連合記憶系の不調が見られるようになる。ことにこの系は恐怖に関連する情報の処理が得意なため、患者はどのような状況においてもリスクを過大に感じるようになり、そのため、驚きやすくなるとともにその情報は
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