老化の鍵「NAD+」、早期老化症ウェルナー症候群の治療に光

老化の鍵「NAD+」、早期老化症ウェルナー症候群の治療に光

「私たちの結果は、ウェルナー症候群においてNAD+の代謝が損なわれていること、そしてNAD+を増強することでウェルナー症候群患者由来の間葉系幹細胞と初代線維芽細胞の両方で細胞老化が減少したことを示しており、潜在的な治療法に光を当てるものです。」若さの鍵を握る分子として注目される「NAD+」。その減少が、実年齢より遥かに早く老いてしまう難病の原因の一つだったことが、最新の研究で明らかになりました。さらに、失われたNAD+を補充することで、老化してしまった細胞の機能が回復する可能性も示唆されています。これは、老化の時計の針を少しだけ戻せるかもしれない、希望の光となる発見です。 2025年4月2日に、新しい研究論文が学術誌『Aging (Aging-US)』の第17巻第4号の表紙を飾り、発表されました。論文のタイトルは「Decreased Mitochondrial NAD+ in WRN Deficient Cells Links to Dysfunctional Proliferation(WRN遺伝子欠損細胞におけるミトコンドリアNAD+の減少と細胞増殖異常の関連性)」です。この研究で、ノルウェーのオスロ大学およびアーケシュフース大学病院に所属する筆頭著者のソフィー・ロウトロップ博士(Sofie Lautrup, PhD)と責任著者のエバンドロ・F・ファング博士(Evandro F. Fang, PhD)が率いるチームは、急速に老化が進行する希少な遺伝性疾患であるウェルナー症候群の患者さんの細胞では、ミトコンドリア内のNAD+と呼ばれる分子のレベルが低いことを発見しました。このNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)は、エネルギー産生、細胞代謝、そして細胞の健康維持に不可欠な分子です。研究者たちはまた、WS患者さんの細胞機能を改善する可能性のある方法も見出し

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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