腰痛治療に革命?「糖の接着剤」がすり減った椎間板を修復

腰痛治療に革命?「糖の接着剤」がすり減った椎間板を修復

世界の高齢化が進むにつれ、多くの人々が悩まされる慢性的な腰痛。その大きな原因の一つが、背骨のクッションである椎間板がすり減ってしまう椎間板変性症です。生活の質を大きく損なうこの問題に対し、マカオ大学の研究チームが、損傷した椎間板を修復する画期的な「糖の接着剤」を開発し、新たな希望をもたらしています。この研究は、チュンミン・ワン教授(Chunming Wang)が主導し、南京大学のドン・レイ教授(Dong Lei)との共同研究、さらに蘇州大学第一付属病院のゲン・デチュン教授(Geng Dechun)のチームの支援を受けて行われました。研究チームは、ある重要なタンパク質を標的とすることで椎間板の健康を回復させる、グルコマンナンをベースとした溶液を開発しました。 この成果は2025年4月16日付の『Nature Communications』誌に掲載されました。このオープンアクセス論文のタイトルは、「An Enzyme-Proof Glycan Glue for Extracellular Matrix to Ameliorate Intervertebral Disc degeneration.(椎間板変性を改善する、酵素に強い細胞外マトリックス用『糖の接着剤』)」です。 研究チームは、浙江大学のヒト筋骨格系遺伝子発現データベース(MSdb)や臨床サンプルを調査し、椎間板変性症(IDD: intervertebral disc degeneration)の進行中に、Milk Fat Globule-Epidermal Growth Factor 8(MFG-E8)というタンパク質の発現レベルが大きく変動することを発見しました。このことから、チームはMFG-E8が椎間板の完全性を維持するために極めて重要なタンパク質であると考えました。MFG-E8は分泌される糖タンパク質

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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