入院・死亡リスクを低減、セマグルチドなどGLP-1作動薬の腎保護効果が明らかに

2型糖尿病の治療や体重管理の薬として、今や広く知られるようになったGLP-1受容体作動薬。実はこの薬が、糖尿病の深刻な合併症である慢性腎臓病に苦しむ患者さんにとっても、新たな希望となるかもしれません。テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターの研究者たちが、その腎臓を保護する驚くべき効果を明らかにしました。このグルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬には、セマグルチドやリラグルチド、デュラグルチドなどがあり、様々な商品名で販売されています。テキサス大学サウスウェスタン(UTSW)メディカルセンターの研究チームは、この薬が、糖尿病に関連する腎臓病を持つ患者さんに対し、別の一般的な治療薬であるジペプチジルペプチダーゼ-4阻害薬と比較して、3つの重要な利点をもたらすことを発見しました。それは、入院リスクの減少、全死亡率の低下、そして腎臓病進行の抑制です。 「GLP1-RA療法の血糖管理に対する効果はよく知られていますが、私たちの研究は、中等度から進行した慢性腎臓病を持つハイリスク患者におけるGLP1-RAの腎保護効果を裏付ける、まさに待望の証拠を提供するものです」と、筆頭著者であり、UTサウスウェスタンの内科学講座内分泌部門の助教であるシュヤオ・チャン博士(Shuyao Zhang, MD)は語ります。チャン博士は、共同責任著者であるUTサウスウェスタンの内科学講座内分泌部門およびPeter O’Donnell Jr.公衆衛生大学院の教授であるイルディコ・リングベイ博士(Ildiko Lingvay, MD, MPH, MSCS)と、セントラルフロリダ大学医学部の内科学教授であるイシャク・A・マンシ博士(Ishak A. Mansi, MD)の指導のもとで研究を行いました。 この研究は、2024年12月5日付の『Nature Communications』誌に掲載され、
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