エクソームシーケンシングで感受性遺伝子の同定が可能である
サイエンス出版部 発行書籍
最良の健康状態時と最悪の健康状態時の両極端で患者のDNAを比較することで、耐性および感受性遺伝子を同定することが出来る。このアプローチによって、早期の慢性気道感染症を発症しやすい嚢胞性線維症患者間のDCTN4遺伝子変異が発見された。DCTN4遺伝子はダイナクチンをコードする。このタンパク質は、問題となる微生物を死滅させる為に、分子ベルトコンベアでリソソームと呼ばれる極小の化学タンクに移動する、分子モーターの一部分である。 ワシントン大学(UW)が率いる本研究は、国立心肺血液研究所GOエクソームシーケンシングプロジェクトおよび肺GOの一貫である。これら二つはアメリカ国立衛生研究所の主要研究である。このように“両極端をテストする”方法は、心臓の健康状態など、より一般的な体質の遺伝的要因を明らかにするであろう。嚢胞性線維症患者の易感染性の研究結果は2012年7月8日付けのNature Genetics誌に掲載された。問題となった感染は緑膿菌であった。緑膿菌は一般的に嚢胞性線維症やその他の気道閉鎖障害を持つ患者の肺に感染する日和見土壌細菌である。この細菌は合体してツルツルのバイオフィルムを形成し、肺組織を傷害し、呼吸を妨害する。慢性感染症は、嚢胞性線維症患者間の肺機能および寿命の低下につながる。これらの細菌が正常な肺および免疫機能をもつ人々に、害を与えることは極稀である。 本研究では、緑膿菌感染にもっとも耐性があった嚢胞性線維症患者間にDCTN4変異は見られず、早期の慢性感染症に感染しやすい患者では、DCTN4ミスセンス変異体が少なくとも一つは存在した。ミスセンス変異体が生成するタンパク質は正常に機能しない可能性が高い。本研究レポートの責任著者はUWシアトル公共健康医学部生物統計学准教授のマリー・J・エモンド博士、首席著者はUW遺伝子医学部門小児科教授、臨床遺伝専門医のマ
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