ソルトクレスの遺伝子情報により、塩生植物のメカニズムが明らかに
サイエンス出版部 発行書籍
中国サイエンスアカデミーのゲノム&発生生物学研究所と、世界最大の遺伝子研究所であるBGIとに率いられる国際研究チームが、野生の塩生植物であるソルトクレス(Thellungiella salsuginea)のゲノムシーケンスと解析に成功した。ソルトクレスのゲノム情報は、適応進化のメカニズム解明と、植物の非生物的ストレスへの耐性の底流を成す遺伝子機能の理解に、新たな道標となるものだ。 PNAS誌2012年7月9日オンライン版に発表された内容によれば、塩性植物は、寒冷・干ばつ・酸化ストレス・塩害などに対して、強い耐性を有する。 サイズが小ささに由来する短いライフサイクル、産生する種子の多さ、小さなゲノムサイズ、効率の良い形質転換等の理由によって、ソルトクレスは、植物学者や遺伝子学者そして育種家等にとって、非生物的ストレス対する耐性研究のための、最善の研究モデルと成り得る。本研究においてソルトクレス(Shandon ecotype)は、Solexa社のペアードエンド法を用いたシーケンス法で、解析された。 ソルトクレスのドラフトシーケンスデータは、カバー率134で読まれている。確定したシーケンスは233.7Mb長で、推定されるゲノムサイズ260Mbの凡そ90%をカバーしており、タンパクコード部位は、合計28,457と推定される。ソルトクレスとシロイヌナズナのエクソンの平均長は同等であり、イントロンの平均長はソルトクレスの方が、シロイヌナズナのそれよりも30%長い。進化学的研究によれば、ソルトクレスとその近縁種であるシロイヌナズナは、凡そ700−1200万年前に分科したと考えられる。ソルトクレスとシロイヌナズナの違いを検討すれば、ソルトクレスのほうが、生育環境の違いや遺伝的相補性の面で大きく異なり、特に特徴づけられるのは、オルソログの発現とゲノムサイズの大きさであろう。明白
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