癌性腫瘍における2種類の抑制因子の関係を明らかにする上で初となる、包括的研究が発表された。発表したのはケンタッキー大学(UK)毒物学およびジェームス・グラハム・ブラウン寄付講座教授、ダレット・セント・クレア博士である。本研究結果は発ガンにおける転写機構への理解を深めることとなるであろう。
本研究は国立ガン研究所よりグラントされ、2011年11月1日付けのCancer Research誌に掲載された。
セント・クレア博士と研究チームは、ヒトMnSODプロモーター/エンハンサー分子の元でルシファレーゼ•レポーター遺伝子を発現するトランスジェニックマウスを作成した。そして、7,12-ジメチルベンズアントラセン(DMBA)/12-O-テトラデカノイルホルボールアセテート(TPA)多段階皮膚発ガンモデルを用いて、MnSOD転写の変化を調査した。
マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)は、好気性生物の生存において不可欠な役割をもち、これの異常発現が発ガンおよび治療における腫瘍耐性と関係しているのである。MnSOD制御およびガンにおけるMnSODの役割など、広範な研究が行われているのにもかかわらず、生体内腫瘍形成におけるMnSODの発現変化がいつ、どのようにして起こるのかは未だ解明されていない。
現段階での研究結果は、MnSOD発現が皮膚発ガンの初期では抑制され、後期では増加することを示している。MnSOD発現の抑制およびその後の増加は、Sp1とp53の二つの転写因子によって媒介されている。DMBAおよびTPAへの曝露はp53を活性化すると同時に、MnSOD発現を低下させる。この発現低下は、正常皮膚および良性パピローマにおいて、p53を介するSp1のMnSODプロモーターへの結合が抑制されるためである。扁平細胞ガンにおいては、機能性p53の損失によりSp1結合が増加した。セント・クレア博士と研究チームはクロマチン免疫沈降および電気泳動移動度シフト解析、そしてSp1およびp53のノックダウンと過剰発現の両方を使用して、各ガン発達段階のMnSOD発現におけるこの二つの因子の役割を検証した。結果、MnSODがp53によって制御される遺伝子であり、ガンの初期および後期によって切り替わるものであることが示された。これらの知見は、p53の再活性化が腫瘍の進行を阻止する上で重要であることを示している。
「本研究は皮膚ガンの新たな遺伝子モデルを記し、生物の生存において重要な役割をもつ抗酸化酵素、MnSODと、ガンの進行の二つの関係性を明らかにしました。将来的には、進行ガンにおけるMnSOD酵素を抑制する手段を開発することがガン治療への耐性を防ぐことにつながることでしょう。」と、UKマーキー癌センター基礎研究の準ディレクターでもあるセント・クレア博士は説明する。
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