先天性疾患の治療、マウスモデルで成功

先天性疾患の治療、マウスモデルで成功

サイエンス出版部 発行書籍

ハイデルベルク大学病院の研究者が、マウスモデルを使用して初めて、糖代謝が異常を来す重度の先天性疾患の治療に成功した。クリスチャン・ケルナー教授率いるチームは、雌マウスが交尾前および妊娠中に飲料水と共にマンノースを与えられた場合、その子孫は先天性疾患の遺伝的変異を持っていたとしても、正常に発達することを証明した。ケルナー教授は、児童医学センターのグループリーダーでもある。   今回の発見は、この代謝疾患の分子過程や胚発生における重要の段階の理解に貢献し、初となる治療方法を提供する可能性を持つ。ハイデルベルクの研究者達はまた、ドイツ癌研究センター(DKHZ)細胞分子病理学のヘルマン・ジョセフ・グレーヌ教授との共同研究も行っている。その結果は印刷版に先駆けて、Nature Medicine誌オンライン版に2011年12月11日に発表された。 現在、稀な病気であるグリコシル化の先天性疾患(CDG)を持つ子供は、世界中で1000人存在する。CDG-Iaが最も頻繁なタイプで、約800人を占めている。しかし、報告されていない症例数も多く、CDGの子供は、重度な身体的、また精神的な障害を持ち、約20%が2歳前に死亡する。この疾患の治療法は、未だ発明されていない。CDG-Iaは、phosphomannomutase2酵素の遺伝子情報の変異によって引き起こされる。この酵素は、グリコシル化の重要なプロセスに関与していて、変異の結果、マンノースリン酸1の産生が十分ではなくなる。その結果、グリコシル化機能不全になり、通常、糖タンパク質の形状や安定性および機能に役立つ糖鎖が、不完全にタンパク本体に結合したり、場合によっては完全に結合されなくなる。オリゴ糖不足は神経や成長、また臓器の発達の障害につながる。この疾患は、乳児が母親と父親の両方から変異遺伝子を継承した場合のみ現れる。共に変異遺伝子と“正

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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