ECMの硬化とエクソソーム産生・放出量の増加に注目した腫瘍増殖メカニズムで新たな知見
サイエンス出版部 発行書籍
多くの場合、がんの物理的な症状やその後の診断方法は、変異した細胞や構造物が過剰に増殖した組織の塊である「腫瘍」を介して行われる。がんにおける異常事態を理解する上で大きな謎のひとつは、これらの構造物が成長する環境(一般に腫瘍微小環境と呼ばれる)に関連していることだ。これらの微小環境は、腫瘍の生存、成長、拡散を促進する役割を担っている。腫瘍は、血管系、免疫細胞、シグナル伝達分子、細胞外マトリックス(ECM:コラーゲンに富む細胞の足場となる3次元ネットワーク)の形で、自らのインフラを生成するのに役立つ。ECMはまた、細胞間のコミュニケーションを制御するのに役立つ。腫瘍微小環境では、ECMはがん細胞に構造的なサポートを提供し、成長を促進するシグナル伝達経路を調節することで、腫瘍成長の重要な促進因子となる可能性がある。 このたび、ペンシルベニア大学芸術科学部のウェイ・ガオ博士が主導し、2023年2月16日にNature Cell Biology誌に発表した新しい研究で、腫瘍微小環境内の複雑な構造の相互作用と腫瘍成長のきっかけとなるシグナルの橋渡しがなされた。研究者らは、硬さの異なるECM上で増殖したがん性肝細胞を研究し、腫瘍の成長に伴う硬直が、エクソソームとして知られる脂質封入小胞の生成を増加させるカスケードを開始させることを発見した。この論文は、「硬いマトリックスがエクソソーム分泌を誘導し、腫瘍の成長を促進する(Stiff Matrix Induces Exosome Secretion to Promote Tumour Growth)」と題されている。 ペンシルベニア大学工学部バイオエンジニアリング学科教授で、この論文の共著者であるラヴィ・ラドハクリシュナン博士は、「これらのエクソソームは、各細胞が送り出す荷物であり、住所に応じて他の細胞へと誘導される。配送された荷物の
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