貼るだけで傷を監視・治療する「スマート包帯」iCaresがヒト臨床で実証

貼るだけで傷を監視・治療する「スマート包帯」iCaresがヒト臨床で実証

糖尿病や血行不良が原因で、なかなか治らない「慢性創傷」。患者さんやご家族はもちろん、医療従事者にとっても大きな負担となっています。もし、傷口に貼るだけでその状態をリアルタイムで把握し、さらには治療まで促してくれる「スマート包帯」があったとしたら、創傷ケアは劇的に変わるかもしれません。まるで「皮膚の上の研究室」のような、この未来のデバイスが今、現実のものとなろうとしています。一体どのような仕組みで、傷の治癒を早めるのでしょうか。カリフォルニア工科大学の医用生体工学教授であるウェイ・ガオ博士(Wei Gao, PhD)と彼の研究チームは、慢性創傷の状態を監視するだけでなく、治療薬の投与や組織の成長を刺激する電場をかけることで治癒を早めるスマート包帯の実現を目指しています。 2023年、ガオ博士のチームは動物モデルにおいて、開発したスマート包帯が慢性創傷に関するリアルタイムのデータを提供し、同時に治癒プロセスを加速できることを示し、目標達成に向けた最初のハードルをクリアしました。 そして今回、ガオ博士と南カリフォルニア大学(USC)ケック医学校の研究チームは、さらに改良を加えた「iCares」と呼ばれる包帯を用い、次のハードルを越えました。研究チームは、糖尿病や血行不良により治癒しない慢性創傷を持つ20人の患者と、手術前後の患者を対象に、炎症反応の一部として体が創傷部位に送る体液を継続的にサンプリングできることを実証しました。 このスマート包帯は、液体の流れを制御する3つの異なる微小なモジュール、マイクロ流体コンポーネントを備えており、存在するバイオマーカーに関するリアルタイムのデータを提供しながら、創傷から余分な水分を取り除きます。 「私たちの革新的なマイクロ流体技術は、創傷から水分を除去し、治癒を助けます。また、包帯で分析されるサンプルが、古い体液と新しい体液の混

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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