腫瘍細胞によって血流に放出され、癌の転移を促進する、細胞外小胞(EV:extracellular vesicles)と呼ばれる粒子内のタンパク質に光を当てた新しい研究が報告された。 この調査結果は、これらの 細胞外小胞を含む血液検査が、将来の癌の診断にどのように使用され、侵襲的な外科的生検の必要性を回避できるかを示唆している。ロサンゼルスのシーダーズ・サイナイ病院で外科と生物医学および病理学と臨床検査医学の教授である Dolores Di Vizio博士(写真)によると、この研究は細胞外小胞内のパルミトイル化タンパク質として知られている物質の大規模分析であるという。Di Vizio博士は、2020年6月10日にJournal of Extracellular Vesiclesのオンラインで発表した共同研究者だ。

 

このオープンアクセスの論文は、「包括的なパルミトイル-プロテオミクス分析により、癌由来の大小の細胞外小胞の異なるタンパク質シグネチャが特定される。(Comprehensive Palmitoyl-Proteomic Analysis Identifies Distinct Protein Signatures for Large and Small Cancer-Derived Extracellular Vesicles.)」と題されている。

細胞外小胞は、タンパク質やその他の生物学的に重要な分子を含む可能性があるため、この10年間で大きな注目を集めている。 細胞外小胞は体内の離れた部位に癌が転移するのを助けることが知られているが、これがどのように起こるかは正確には明らかではない。 このプロセスを詳細に知るために、Di Vizio 博士と研究チームは、酵素が脂質分子をタンパク質に転移させるパルミトイル化と呼ばれるプロセスを調査した。


パルミトイル化は、タンパク質が細胞内のどこにあるか、それらの活動は何か、そしてそれらがどのように癌の進行に寄与するのかに影響を与える可能性がある。 研究者らは、ヒト前立腺癌細胞のサンプルで、大小2種類の細胞外小胞を調べた。 彼女らは遠心分離機を使用して、細胞外小胞を他の細胞材料から分離し、パルミトイル化のレベルと存在するタンパク質のタイプを分析した。 チームは、癌細胞に由来する細胞外小胞に、癌の拡大に関連するパルミトイル化タンパク質が含まれていることを発見した。 さらに、チームがパルミトイル化プロセスを化学的に抑制したとき、細胞外小胞におけるこれらのタンパク質のいくつかのレベルは低下した。

「我々の結果は、タンパク質パルミトイル化が、体内の異なる細胞外小胞集団へのタンパク質の選択的パッケージングに関与している可能性があることを示唆している」とDi Vizio 博士は述べた。 「この発見は、血流中の細胞外小胞にあるこれらのタンパク質を調べることにより、外科的生検を行わなくても将来的に患者の癌を検出し、特徴付けることができる可能性を高めるものだ。」

Di Vizio博士は、研究の次のステップでは、診断時に臨床的に重要な前立腺癌を特定することを目的として、質量分析やフローサイトメトリーなどの高度な技術を使用するシーダーズ・サイナイの同僚や業界パートナーと共同研究を行うと述べた 。

Di Vizio博士に加えて、シーダーズ・サイナイの外科准教授であるWei Yang博士とAndries Zijlstra博士が共同研究者だ。 Zijlstra博士は、ナッシュビルのヴァンダービルト大学医療センターに所属する間にこの研究を完了した。 Javier Mariscal 博士は、Di Vizio 博士の研究室の博士研究員で、この研究の筆頭著者だ。

BioQuick News:Cancer-Derived Extracellular Vesicles (EVs) May Carry Cancer-Associated Signatures of Palmitoylated Proteins, New Study Shows; Findings Support Further Study to Assess Possible Utility As Liquid Biopsy for Cancer Diagnosis & Monitoring

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