大規模なゲノム解析で液体生検(ctDNA)と腫瘍組織生検の整合性を確認
サイエンス出版部 発行書籍
大規模なゲノム解析で、血液サンプル (液体生検 : liquid biopsy) で検出される遺伝子変化のパターンが、従来の腫瘍組織生検で判定される遺伝子変化のパターンとかなり厳密に一致することが突き止められた。15,000人を超える患者と50種のがん種の血液サンプルを調べたこの研究は、過去有数の規模のがんゲノミクス研究である。 この研究は2016年6月4日の記者会見で発表され、また、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ市で6月3日より7日まで開かれた2016年American Society of Clinical Oncology (ASCO) 年次会議でもプレゼンテーションがあった。University of California Davis Comprehensive Cancer CenterのMolecular Pharmacology教授とDirectorを兼任するPhilip Mack, Ph.D.がプレゼンテーションを行い、「これらの発見から、液体生検と呼ばれる患者の血液に含まれる腫瘍DNA(ctDNA)の解析は、組織生検が遺伝子タイピングには不十分であったり、安全に採取することができない場合に、侵襲性も低く、非常に情報量の多い代替検査になりえる。しかも、Guardant360と呼ばれるこの検査法は、がんが時間の経過とともに進行していく変化をモニターする重要な手段にもなる。このことは、継続的にがんを抑える治療を続ける際に患者と医師が話し合う上で大切であろう」と述べている。 現在のところ、医師は、がんの治療に際して、抗がん剤で対処できる特定の遺伝子変異があるかどうかを判断するためにはもっぱら腫瘍組織生検に頼っている。腫瘍組織生検は外科的処置を伴うが、患者はそれに耐えられるほど健康とは限らず、また、頻繁に繰り返すことにも無理がある。腫瘍細胞は微細な遺伝物質
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