誰でも作れる感染症の検査薬?ウィーンとガーナの共同研究が拓く診断技術の未来
感染症のパンデミックが起きたとき、誰もが迅速に検査を受けられる世界は実現可能なのでしょうか?特に、医療資源が限られた国々では、高価で冷蔵保存が必要な検査キットは大きな壁となってきました。しかし今、その常識を覆す画期的な技術が登場しました。常温で運べて、誰でも安価に作れる「オープンソース」の診断法です。この技術が、世界の健康格差をどう変えるのか、その可能性に迫ります。 広範な分子診断へのアクセスを確保する上でのボトルネックは、特に低・中所得国において、迅速なポイントオブケア検査に伴う高コストと物流の複雑さでした。今回、2025年7月14日にライフサイエンス・アライアンス誌(LSA: Life Science Alliance)に掲載された研究で概説された共同研究の取り組みは、凍結乾燥されたオープンソースの逆転写ループ介在性等温増幅法(RT-LAMP: reverse transcription loop-mediated isothermal amplification)アッセイを病原体検出のために開発することで、これらの課題に対処しました。この方法は、新型コロナウイルス(COVID-19)にうまく適用され、診断を世界的に、よりアクセスしやすく、手頃な価格にすることを目指しています。 このLSAのオープンアクセス論文のタイトルは、「A Lyophilized Open-Source RT-LAMP Assay for Molecular Diagnostics in Resource-Limited Settings(資源が限られた環境における分子診断のための凍結乾燥オープンソースRT-LAMP法)」です。この新しい研究では、オーストリア、ウィーンのウィーン・バイオセンターと、ガーナ、レゴンのガーナ大学にある西アフリカ感染症病原体細胞生物学センターの科学者たちが、逆転
Life Science News from Around the Globe
Edited by Michael D. O'Neill

バイオクイックニュースは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中のバイオニュース(生命科学・医学研究の動向)をタイムリーにお届けします。バイオクイックニュースは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill






