失明を防ぐ新たなmRNA治療—増殖硝子体網膜症(PVR)の革新的治療法とは?

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mRNAを用いた革新的治療が眼疾患の新たな希望に—PVR治療の可能性を示唆する前臨床研究 マサチューセッツ眼科・耳鼻科病院(Mass Eye and Ear) の研究チームは、mRNAを活用した新しい治療法が増殖硝子体網膜症(PVR)の予防に有効である可能性 を示す前臨床研究を発表しました。PVRは眼の外傷や網膜剥離手術後の合併症として発症し、網膜内で瘢痕組織が形成され、最終的に失明を引き起こす疾患です。現在の唯一の治療法は手術ですが、その手術自体がPVRを誘発するリスクを伴います。 研究の成果は、2024年11月27日付のScience Translational Medicine に掲載されました。論文タイトルは、「An mRNA-Encoded Dominant-Negative Inhibitor of Transcription Factor RUNX1 Suppresses Vitreoretinal Disease in Experimental Models(mRNAエンコード型優性阻害因子RUNX1が実験モデルにおける硝子体網膜疾患を抑制する)」 です。 本研究の共同責任著者であり、マサチューセッツ眼科・耳鼻科病院のレオ・A・キム博士(Leo A. Kim, MD, PhD) は、「本研究は、mRNAベースの治療を眼内に適用できることを初めて示したものです。我々は、このアプローチが過度な炎症を引き起こさずに機能することに驚きました。この技術が将来的にPVRや他の眼疾患の新たな治療法となることを期待しています」と述べています。 PVRとは?—瘢痕組織が引き起こす失明のメカニズム PVRは、眼の損傷や手術後に形成される瘢痕組織 が収縮し、網膜剥離を引き起こす疾患です。この疾患の本質は、外傷そのものではなく、その後の異常な瘢痕形成にありま
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