夜勤が体に悪い本当の理由。筋肉の体内時計と老化の関係

私たちの生活を24時間支えてくれるシフト勤務。しかしその裏で、私たちの体、特に「筋肉」の老化が静かに加速しているとしたら…?最新の研究が、筋肉の中に存在する「体内時計」の重要性と、その乱れがもたらす深刻な影響を明らかにしました。あなたの働き方は、未来の健康を左右するかもしれません。新しい研究によると、筋肉細胞には独自の体内時計(サーカディアンクロック)があり、シフト勤務によってそのリズムが乱れると、老化に深刻な影響を及ぼす可能性があることが示されました。2025年5月5日に学術誌『PNAS(米国科学アカデミー紀要)』に掲載されたこの研究は、シフト勤務が健康に与えるダメージに関する増え続ける証拠に、新たな知見を加えています。 このオープンアクセスの論文のタイトルは、「Muscle Peripheral Circadian Clock Drives Nocturnal Protein Degradation Via Raised Ror/Rev-Erb Balance and Prevents Premature Sarcopenia(筋肉の末梢体内時計はRor/Rev-Erbバランスの上昇を介して夜間のタンパク質分解を駆動し、早期サルコペニアを予防する)」です。キングス・カレッジ・ロンドン(King's College London)の研究チームは、筋肉細胞がタンパク質の代謝回転を調節し、筋肉の成長と機能を制御する固有の時間維持メカニズムを持っていることを明らかにしました。夜間、体が休んでいる間に、筋肉の時計は不良タンパク質の分解を活性化させ、筋肉を補充します。この固有の筋肉時計を変化させると、加齢に伴う筋肉の衰えであるサルコペニアが引き起こされることが示唆されました。これは、シフト勤務のように体内時計のリズムを乱すことが、老化プロセスを加速させることを意味します。
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Edited by Michael D. O'Neill
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