生物学的活性の要であるGAGプロテオグリカンの糖鎖配列が初めて解明
サイエンス出版部 発行書籍
遺伝子が生命の設計図であり、タンパク質が細胞のための作業を行う機械であるとしたら、タンパク質とリンクしている糖類は,細胞が外の世界とコミュニケーションを取る事を可能にするツールの一つです。しかし今まで、生物学的に重要なGAGプロテオグリカンと呼ばれる複合分子の構造の確定はおろか、これらの複合分子が明確な構造を有している事すら確認されていなかった。 しかし、Nature Chemical Biology誌に2011年10月9日付けでオンライン発表された論文では、ジョージア大学(UGA)、レンセラー工科大学、そして日本の千葉大学の科学者チームが、グリコサミノグリカン(或いはGAG)やプロテオグリカンの配列と構造を決定する事に初めて成功した。「人々はこれらの分子の複雑さは分子のランダム性から来るものだと思っていたので、明確な構造が存在するという事実自体が驚くべく事です。このように、糖類を基本的なレベルから理解する事で、医学の様々な分野で有効になります。」と、本論文の共著者であり、UGAフランクリン大学の教授で科学学科長を務めるジョナサン・アムスター博士は言う。 例えばGAGや糖類のバイオポリマー、或いはプロテオグリカンの特定部位への化学修飾は、特定の癌とその悪性腫瘍に関連している。そのため、研究者達が注目しているのは、疾患に関与している糖類の同定が、それらの作用をブロックする機能を有する薬の開発への扉を開くであろうと言う事である。糖鎖生物学のフィールドはまだ始まったばかりだが、その最大の理由として、今まで行ったプロテオグリカンのシーケンスの試みが失敗に終わっていることがあげられる。最新のツールを使えば、ごく小さなDNAのサンプルを何度も増幅することで、そのシーケンス、またはサブユニットの配列を同定することが出来る。DNAは単にタンパク質を作成する説明書であるから、DNA
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