T2Tゲノムが明かす花の秘密!不妊の雑種バウヒニアの起源と美しさの謎

香港の旗やコインにも描かれている、紫色の美しい花「バウヒニア」。街のシンボルとして親しまれているこの花が、実は100年以上もの間、その出自が謎に包まれていたことをご存知でしょうか?種子を作らず、挿し木でしか増やすことができない不思議な花。その秘密を解き明かすため、市民の支援によって始まった壮大なプロジェクトが、10年の歳月を経て、ついに遺伝子の完全解読という形で実を結びました。今年の4月25日の国際DNAデーは、香港の象徴花であるホンコン・オーキッド・ツリー(Bauhinia x blakeana Dunn)のDNAを解読する10年にわたるプロジェクトの完成を記念する日となりました。 香港中文大学(CUHK)の科学者が主導し、4月25日にオープンサイエンスジャーナル『GigaScience』に掲載されたこの研究は、バウヒニアのゲノムの完全でギャップのない塩基配列、すなわち染色体の端から端までテロメア・トゥ・テロメア(T2T: telomere-to-telomere)を解読したものです。 香港の旗や通貨に描かれているこの美しい観賞用のバウヒニアは、その際立つ紫色のランのような花で愛されており、その起源は1880年代にフランスの園芸家ジャン=マリー・ドラヴェイが香港島で偶然発見した1本の木にまで遡ります。後にこの木は完全に不稔性であり、挿し木によってのみ増殖できることが判明したため、この印象的な種の分類学的地位と正確な起源は科学的な謎となっていました。このオープンアクセスの『GigaScience』論文は、「「The Haplotype-Resolved T2T Genome for Bauhinia × Blakeana Sheds Light on the Genetic Basis of Flower Heterosis」(ハプロタイプ解決されたバウヒニア・ブ
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