AIで植物の免疫をアップグレード!病気に強い作物を作る新技術
畑の野菜も、実は私たちと同じように病原菌と戦うための「免疫システム」を持っています。しかし、賢い病原菌は姿を変えてその監視網をすり抜けてしまいます。もし、最新のAI技術で植物の免疫を「アップグレード」し、見えない敵を見破る力を与えられたら?カリフォルニア大学の研究者たちが、そんなSFのようなアイデアを現実のものとし、未来の食料安全保障への道を切り拓こうとしています。 カリフォルニア大学(UC)デービス校の科学者たちは、人工知能(AI)を用いて、植物がより広範囲の細菌の脅威を認識できるようにしました。この成果は、トマトやジャガイモなどの作物を壊滅的な病気から守るための新しい方法につながる可能性があります。この研究は2025年7月28日に学術誌「Nature Plants」に掲載されました。論文のタイトルは「Unlocking Expanded Flagellin Perception Through Rational Receptor Engineering(合理的な受容体工学によるフラジェリン認識能力の拡大)」です。 植物は動物と同様に免疫システムを持っています。その防御ツールの一部には、細菌を検知し防御する能力を与える免疫受容体が含まれます。その受容体の一つであるFLS2は、細菌が泳ぐために使用する小さな尾にあるタンパク質「フラジェリン」を植物が認識するのを助けます。しかし、細菌は狡猾で、検知を避けるために常に進化しています。「細菌は宿主である植物との間で軍拡競争を繰り広げており、フラジェリンの基となるアミノ酸を変化させて検知を回避することができます」と、責任著者であり植物病理学科の教授であるギッタ・コーカー博士(Gitta Coaker, PhD)は説明します。 植物がこの競争に遅れを取らないようにするため、コーカー博士のチームは自然界に存在する多様な受容体の
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Edited by Michael D. O'Neill

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