世界最大のゲノミクス機関であるBGIは、張家口農業科学アカデミーとの共同研究でアワのゲノムシーケンスおよび解析を完了した。アワはキビの中で二番目に最も広く植えられている種であり、本研究はアワおよびキビ作物の遺伝子改良のための貴重な資源となる。研究結果は2012年5月13日付けのNature Biotechnology誌に掲載された。
アワは半乾燥地域において食料および飼料となる貴重な穀物であり、中国では最大の作物である。

 

アワはゲノムサイズが小さく(〜490M)、遺伝的多様性に富み(〜6,000種類)、自家受粉をし、生殖質データが完全で、さらに形質転換のプラットフォームが効率的であるため、比較ゲノミクスおよび遺伝子機能研究のための重要なモデルとして役立つのだ。また、アワはスイッチグラスやネピアグラスなど複数のバイオ燃料草と進化的に近いのである。「伝統的な品種は収率が低く、アワの栽培および利用を大幅に制限していました。張家口農業科学アカデミーのジアイ・ザオ博士によって最近開発されたハイブリッド品種は、アワの収率を倍増しました。私はこの研究により、これまで軽視されてきた作物の収率や穀物品質を上げ、ストレス耐性を持つ新品種開発のためにゲノムシーケンスが役立つ良い例になると思います。」と、BGI副社長、ゲンギュアン・チャン博士は語る。


本研究でBGIの研究チームは“Zhang gu”と呼ばれる中国北部のアワの一系統の次世代シーケンシングおよびde novoアセンブリを行った。最終ゲノムアセンブリは423Mbになり、38,801ものタンパク質コーディング遺伝子が予測され、内~81%が発現していた。研究チームはまた、他系統のA2およびZhang guとA2の交雑種であるF2個体群の再シーケンシングによって識別された遺伝子マーカーを使用して高密度遺伝子連鎖マップを作成した。A2はハイブリッドアワの雌株で広く使われているものである。研究チームはアワのゲノムとイネのゲノムを比較し、アワ染色体の変化傾向やルールを把握した。これらはキビゲノムの進化を理解するために重要なのである。

「我々は、3回の染色体再編の後に9つのアワ染色体が形成されることを発見しました。3回の再編の内2回はイネからアワの分岐後に起こり、これらはソルガムからアワの分岐後の特定の再編へと続きました。」と、チャン博士は語る。日中の気温が高い環境や強烈な太陽光、干ばつ、または窒素や二酸化炭素制限のある環境には、C3植物よりもC4植物の方が適応している。アワは二培体C4パニコイド型作物種である。このように利用出来るゲノムが存在したため、研究チームはC4光合成経路のいくつかの重要な遺伝子の進化を包括的に分析した。結果、C4炭素固定経路に関する全ての遺伝子はC3植物にも存在することが示された。そのため、研究チームはC4経路の出現はこれらの遺伝子の発現的または機能的な変更から生じる可能性があると予測している。

アワのゲノムシーケンスは定量的特性遺伝子座のマッピングに役立つ可能性がある。本研究で研究チームは除草剤耐性遺伝子を特定するためにアワのゲノムを使用し、結果正確にセトキシジム耐性遺伝子を同定した。「全ゲノムシーケンスの解読は、作物の遺伝子制御の不可解な点を明らかにするために必須なのです。そしてこれらは生物学および育種において重要なプラットフォームとなることでしょう。」と、チャン博士は説明する。

■原著へのリンクは英語版をご覧ください:Genome Sequence of Widely Planted Foxtail Millet Completed

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