ウメの香りの秘密を解明!初のシングルセル解析で花びらの細胞レベルの香気合成メカニズムを発見

ウメの香りの秘密を解明!初のシングルセル解析で花びらの細胞レベルの香気合成メカニズムを発見

サイエンス出版部 発行書籍

ウメの花びらの香りを解き明かす——初のシングルセル遺伝子発現マップが示す香気合成の細胞レベルの仕組み 花の香りは、受粉媒介者を引き寄せ、植物が環境変化に適応するための重要な要素です。その香りは、主にテルペノイドやベンゼノイド/フェニルプロパノイドといった複雑な化合物から構成され、観賞用や商業的な価値を持っています。しかし、香気成分の生成に関わる遺伝子が次第に明らかになっている一方で、これらの成分がどの細胞で作られ、どのように遺伝子発現が動的に制御されているのかについては、これまで解明されていませんでした。この知識のギャップを埋めるために、中国の西北農林科技大学(Northwest A&F University)の研究チームは、ウメ(Prunus mume)の花びらにおける初のシングルセル遺伝子発現マップを作成しました。 本研究成果は、2024年7月10日付で科学誌「Horticulture Research」に「Single-Cell RNA Sequencing Reveals a High-Resolution Cell Atlas of Petals in Prunus mume at Different Flowering Development Stages(シングルセルRNAシーケンスによる異なる開花段階のウメの花びらの高解像度細胞アトラス)」というタイトルで発表されました。 ウメの花びらの香気生成を担う6種類の細胞を特定 今回の研究では、香り高い品種「Fenhong Zhusha」の花びらに着目し、開花前と満開時の2つのステージにおける細胞ごとの遺伝子発現を詳細に解析しました。その結果、花びらを構成する6種類の主要な細胞タイプが特定され、その中でも表皮細胞、柔組織細胞、維管束組織が香気生成に特化した役割を果たしていることが明らかになりました

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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