ゲノム解析で明らかになったジャガイモ疫病の起源と気候変動の影響

ゲノム解析で明らかになったジャガイモ疫病の起源と気候変動の影響

サイエンス出版部 発行書籍

ノースカロライナ州立大学の研究者らは、アイルランドのジャガイモ飢饉の原因となった病原体 Phytophthora infestans(フィトフトラ・インフェスタンス) の起源が、南アメリカのアンデス山脈であると断定しました。ノースカロライナ州立大学(NC State)の研究者らは、P. infestans およびPhytophthora(フィトフトラ)属の他の種の遺伝物質を広範囲に解析し、P. infestans が南アメリカから北アメリカへ拡散し、その後1840年代にアイルランドで大きな被害をもたらしたことを裏付ける証拠を提示しました。この病原体は現在も、世界中のジャガイモやトマトに疫病(late-blight disease)を引き起こしています。 本研究では、P. infestans の全ゲノムを、南アメリカにのみ生息する近縁種 Phytophthora andina(フィトフトラ・アンディナ) および Phytophthora betacei(フィトフトラ・ベタセイ) のゲノムと比較しました。その結果、これら3種が非常に類似していることが明らかになりました。 「これは P. infestans だけでなく、その姉妹系統も対象にした最大規模の全ゲノム研究の一つです」と語るのは、ノースカロライナ州立大学の植物病理学のウィリアム・ニール・レイノルズ特別教授(William Neal Reynolds Distinguished Professor of Plant Pathology)であり、本研究の責任著者であるジーン・リスタイノ博士(Jean Ristaino, PhD)です。本研究の成果は2025年1月24日にPLOS One に掲載されました。本論文のタイトルは「A Pangenome Analysis Reveals the Center of Orig

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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