RNAデータから未知のウイルスを発見!Caltech開発の新ソフトウェアが拓くウイルス研究の新時代

私たちの身の回りには、目に見えないウイルスが無数に存在しています。その数は、宇宙に存在する星の数をはるかに上回るとも言われています。普段は病気を引き起こさずに潜んでいるウイルスたちが、私たちの生活や健康にどのように影響を与えているのか、まだ多くの謎に包まれています。例えば、アルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患も、その起源はウイルス感染にあるのではないか、という説もあるのです。この度、カリフォルニア工科大学で開発された新しいソフトウェアアルゴリズムが、これまで見えなかったウイルスの世界を解き明かす鍵となるかもしれません。このツールを使えば、RNAの配列データの中からウイルスを簡単に見つけ出し、サンプル中のウイルスの存在を突き止め、それらが生物の機能にどのような影響を及ぼすかを研究できるようになります。 この画期的なアルゴリズムは、「kallisto」と呼ばれる既存のソフトウェアツールを基盤として構築されました。この研究は、計算生物学および計算・数理科学のブレン教授であるライオール・パクター博士(Lior Pachter, BS '94)の研究室で行われ、その成果を詳述した論文は2025年4月22日付の学術誌『Nature Biotechnology』に掲載されました。論文のタイトルは、「Detection of Viral Sequences at Single-Cell Resolution Identifies Novel Viruses Associated with Host Gene Expression Changes(単一細胞解像度でのウイルス配列の検出が宿主遺伝子発現変化に関連する新規ウイルスを同定)」です。 「例えば、ヒトの肺のサンプルからRNAをシーケンスすると、そこに含まれるすべてのRNA—主にはヒトのものですが、ヒトの細胞に感
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Edited by Michael D. O'Neill
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