胎盤の遺伝子治療が霊長類で安全性を確認—低出生体重や早産リスク低減へ

胎盤の遺伝子治療が霊長類で安全性を確認—低出生体重や早産リスク低減へ

サイエンス出版部 発行書籍

胎盤の遺伝子治療が霊長類で安全性を確認—低出生体重や早産のリスク低減に期待 ウィスコンシン大学マディソン校の研究チームは、胎盤の機能を向上させる遺伝子治療が霊長類で安全であることを確認しました。この短期研究の結果は、低出生体重の改善や早産の予防に向けた治療法の臨床応用に一歩近づくものです。 本研究成果は、2024年11月11日にMolecular Human Reproduction誌に掲載されました。 論文タイトルは「Placental Gene Therapy in Nonhuman Primates: A Pilot Study of Maternal, Placental, and Fetal Response to Non-Viral, Polymeric Nanoparticle Delivery of IGF1(非ヒト霊長類における胎盤遺伝子治療:非ウイルス性ポリマーナノ粒子を用いたIGF1送達による母体、胎盤、胎児の反応の予備研究)」です。 胎盤機能低下とその影響 胎盤は一時的な器官でありながら、胎児の発育に不可欠な役割を果たします。 しかし、「胎盤機能不全(placental insufficiency)」が起こると、 胎児への栄養や酸素の供給が不足し、低出生体重や発育遅延の原因となる 早産のリスクが高まり、新生児集中治療室(NICU)での長期管理が必要になる 成人期における心血管疾患や神経発達障害のリスクが増大する ウィスコンシン大学マディソン校の研究助教授であり、胎盤機能や生殖医療を研究するジェナ・シュミット博士(Jenna Schmidt, PhD)は次のように述べています。 「胎盤は通常、出産後に廃棄される器官ですが、健康な赤ちゃんを生むためには極めて重要です。しかし、現在の医学では、胎盤の機能を直接改善する治療法が存在

Life Science News from Around the Globe

Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

バイオクイックニュースは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中のバイオニュース(生命科学・医学研究の動向)をタイムリーにお届けします。バイオクイックニュースは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill

LinkedIn:Michael D. O'Neill