ISSで培養された幹細胞が再生医療を加速—宇宙研究が拓く新たな治療法

ISSで培養された幹細胞が再生医療を加速—宇宙研究が拓く新たな治療法

サイエンス出版部 発行書籍

宇宙で育つ幹細胞—ISSが再生医療の未来を拓く 国際宇宙ステーション(ISS)で培養された幹細胞が、将来のバイオセラピーや複雑な疾患治療の加速に寄与する可能性があることが、メイヨー・クリニックの研究者によって報告された。この研究分析は、フェイ・アブドゥル・ガニ氏(Fay Abdul Ghani)とアッバ・ズベア博士(Abba Zubair, MD, PhD)によって行われ、2024年8月21日付の npj Microgravity に掲載された。本研究によると、微小重力環境が幹細胞の再生能力を強化する可能性があるという。 微小重力環境がもたらす新たな発見 「宇宙で幹細胞を研究することで、地上では観察できない細胞のメカニズムを発見できました。この知見は、臨床応用の可能性を示すものです。」とズベア博士は述べる。 博士はこれまでに3回の宇宙実験を実施し、宇宙空間が大量の幹細胞を培養するのに適した環境かどうか、また帰還後もその機能が維持されるかという重要な疑問を探求してきた。 特に、宇宙で培養された幹細胞が老化関連疾患の治療に役立つ可能性が注目されている。 地上での幹細胞培養の課題 骨髄や脂肪組織に存在する成人幹細胞は、分裂や分化が制限されており、臨床研究や治療に必要な細胞数を確保するのが困難である。そのため、大量培養が必要だが、コストが高く、時間がかかるうえ、結果も一定しない。 一方、ISSでの研究により、微小重力環境では幹細胞の増殖や分化に関する新たな知見が得られ、より効率的な培養が可能であることが示された。 「宇宙環境では、幹細胞が三次元的に成長しやすく、人体内の自然な成長環境に近づきます。地上の二次元培養系よりも組織の再現性が高い。」とズベア博士は説明する。 宇宙で育てた幹細胞の臨床応用 宇宙で培養された幹細胞は、疾患モデル作成や新規治療法の開発に

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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