MicroRNAが植物生殖細胞のゲノムをトランスポゾンによる損傷から防衛
サイエンス出版部 発行書籍
卵細胞、精細胞などの生殖細胞は結合して幹細胞を形成し、この幹細胞は成長してどのような組織細胞にでもなることができる。ところで、生殖細胞はどのように発生するのだろうか? 人間は自分がつくり出す生殖細胞をすべて備えて生まれてくる。しかし、植物は少し事情が違う。植物は、まず成熟した成体細胞をつくり、その後に一部を卵細胞や精細胞にリプログラムする。 植物が生殖細胞をつくるためには、エピジェネティック・マークと呼ばれる、ゲノム全体にわたってDNAに付けられている一連のタグであるキー・コードを先に消去しなければならない。このマークは遺伝子の活性、不活性を識別できる。 しかし、このマークには他にも重要な役割がある。エピジェネティック・マークには、損傷を与えるおそれのあるトランスポゾン、別名「ジャンピング遺伝子」を不活性状態にする機能がある。細胞がエピジェネティック・コードを消去してしまうと、トランスポゾンが活性化され、新しく生成されたばかりの生殖細胞が遺伝的損傷を受ける危険が大きい。2014年3月16日、ニューヨークのCold Spring Harbor Laboratory (CSHL) の研究チームは、Howard Hughes Medical Institute (HHMI) 研究者のDr. Robert Martienssenの指導のもとに研究を行い、エピジェネティック・コードが消去されてもトランスポゾンを不活性に保つ経路を発見したことを発表している。「ジャンピング遺伝子」は、50年以上前にCSHLのDr. Barbara McClintockによってその存在が指摘され、この功績でDr. Barbara McClintockは後にノーベル賞を受けている。その後の研究で、ジャンピング遺伝子 (トランスポゾン = 転移因子) が長い反復的なDNAの一部であることが明らかにな
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