がん細胞はさまよわず転移先に向かって直進

がん細胞はさまよわず転移先に向かって直進

サイエンス出版部 発行書籍

過去のペトリ皿での実験から、がん細胞は三歩と直進できない酔っ払いのように体内をゆっくり、漫然と移動するものと考えられてきた。このパターンは「ランダム・ウォーク (酔歩)」と呼ばれ、2次元的な実験容器の中を移動する細胞には当てはまるかもしれないが、Johns Hopkins Universityの研究チームは、3次元的な体内を移動するがん細胞については「ランダム・ウォーク」モデルがあてはまらないという事実を発見した。   がんは体中に転移し、しばしば厳しい予後になるが、2014年3月4日付PNASのEarly Editionオンライン版に掲載されたこの研究結果は、がん細胞転移の仕組みをより正確に突き止めるきっかけになる重大な発見である。2次元と3次元の実験で細胞の移動が変化するという問題を解明するため、研究チームは3D環境で移動する細胞の挙動をより正確に表現する数式を作り上げた。 この研究は、Johns Hopkins UniversityのTheophilus H. Smoot Professor、Dr. Denis Wirtzが指導し、同大学のWhiting School of EngineeringとSchool of MedicineのChemical and Biomolecular Engineering、Pathology、Oncologyの各Departmentの設備を使って行われた。Dr. Wirtzは、「現在、がん細胞の移動を3次元的に捉えようとする動きがあり、この発見もその傾向を強化することになる」と述べている。博士の研究チームでは以前に2次元環境と3次元環境の中では細胞の挙動も異なることを証明しており、がん細胞が体内を移動する場合にこの違いが重要になってくる。Dr. Wirtzは、「原発腫瘍から飛び出したがん細胞は血管やリンパ節を探し出して移動し

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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