【AACR2022】バイスペシフィック抗体と複合化した活性化ナチュラルキラー細胞が進行性リンパ腫の患者に新たな治療選択肢を提供する可能性
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4月8日から13日までニューオーリンズで開催されたAACR年次総会2022で発表された第I/II相臨床試験の結果によると、CD30+リンパ腫の再発または難治性の患者において、CD30/CD16Aバイスペシフィック抗体と複合化した臍帯血由来NK細胞が89%の全奏功率を引き出したという。発表したテキサス大学MDアンダーソンがんセンター幹細胞移植・細胞治療科の医学部教授であるヤゴ・ニエト医学博士は、「抵抗性リンパ腫の患者の中には、登録時に非常に悪い状態だった方もいたが、腫瘍反応の質には好意的な驚きを覚えた」と述べています。CD30は、多くのホジキンリンパ腫および一部の非ホジキンリンパ腫の特定の細胞に発現する受容体で、その活性化によってがん細胞の増殖が促進される。再発CD30+リンパ腫に対する現在の標準治療は、CD30を発現する細胞に毒性のある細胞骨格不安定化剤を投与する抗体薬物複合体であるブレンツキシマブ・ベドチン(アドセトリス)である。しかし、すべての腫瘍が反応するわけではない。 「再発したCD30+リンパ腫は、多くの場合、ブレンツキシマブ・ベドチンや、ホジキンリンパ腫の場合はチェックポイント阻害剤で治療が成功する」「しかし、これらの治療が失敗した場合、これらの患者の腫瘍は殺傷能力が極めて高くなり、患者には有効な治療選択肢がほとんど残されていない」とニエト博士は述べている。 そこで、ニエト博士らは、リンパ腫細胞のCD30とナチュラルキラー細胞のCD16Aに結合するバイスペシフィック抗体を利用した。この抗体、自然免疫細胞エンゲージャーAFM13は、2つの細胞タイプの間で橋渡しの役割を果たし、ナチュラルキラー細胞がより効果的にがんと闘えるようにするものだ。AFM13を用いた先行研究では、ホジキンリンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫の患者を対象とした臨床試験で予備的な有
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