膝が痛い?本物の軟骨を凌駕する性能の新しい軟骨ゲルが実験室で誕生
サイエンス出版部 発行書籍
市販の鎮痛剤、理学療法、ステロイド注射......すべてを試しても、膝の痛みに悩まされる人もいることだろう。膝の痛みは、軟骨のすり減りが進行して起こる変形性膝関節症が原因であることが多く、成人の6人に1人、世界では8億6700万人が発症していると言われている。膝関節の全置換を避けたい患者にとって、早く、痛みのない状態に戻し、その状態を維持することができる別の選択肢が間もなく登場するかもしれない。デューク大学が率いる研究チームは、Advanced Functional Materials誌に、本物よりもさらに強く、耐久性のあるゲルベースの軟骨代替品を初めて作成したことを発表した。2022年8月4日に掲載されたこの論文は「軟骨よりも強度と耐摩耗性が高い合成ハイドロゲル複合体(A Synthetic Hydrogel Composite with a Strength and Wear Resistance Greater Than Cartilage)」と題されている。 デューク大学の研究チームが開発したハイドロゲル(吸水性ポリマーでできた素材)は、天然の軟骨よりも強い力で押したり引いたりすることができ、摩耗や損傷に対する耐性が3倍高いことが、機械的試験で確認された。この素材を使ったインプラントは、現在Sparta Biomedical社が開発し、羊でテストしているところだ。研究者らは、来年にはヒトでの臨床試験を開始できるように準備を進めている。 デューク大学機械工学・材料科学教授のケン・ガル博士とともに研究を主導したデューク大学化学教授のベンジャミン・ワイリー博士は、「すべてが計画通りに進めば、早ければ2023年4月に臨床試験を開始できるだろう」と語っている。 この材料を作るために、デューク大学の研究チームは、セルロース繊維の薄板にポリビニルアルコールというポリマーを注
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