進行性膵臓がんの予後はがん遺伝子の活性が握る
サイエンス出版部 発行書籍
変異がん遺伝子の発現によって、主要な代謝パスウエイの「送電線」が継続的に確保されなければ、進行性膵臓がんは増殖を続けられないことを、ダナ・ファーバーがん研究所の研究チームが明らかにした。 2012年4月27日付けのセル誌に発表された論文によれば、この代謝パスウエイを標的にすれば、致死性の高い膵臓がんの新たな治療法の開発に繋がるという。マウスのKrasがん遺伝子を操作し発現を止めた場合、膵臓がんは即座に縮小し、腫瘍が目視できないくらい小さくなったケースも見受けられた。 進行性膵臓がんは増殖を続けるために、Krasがん遺伝子に「依存しきっている」ことの実証となると、研究チームは説明している。「この研究で明らかになったことは、進行性膵臓がんは生来、Krasがん遺伝子の継続的な発現に依存して、自らの増殖機構のメンテナンスを行なっているということです。」と、ロナルド・デピーニョM.D.,と共同責任著者であり、元ダナ・ファーバーがん研究所で現在ホーストンのM.D.アンダーソンがん研究所に所属するアレック・キンメルマンM.D.,pH.D.,は語る。キンメルマン博士は、Krasがん遺伝子が、「基本的には、主要な代謝酵素の発現を制御することで、細胞のグルコース代謝を再構築する機能を有しているので、そのうちの幾つかは新規的な治療標的となる」ことも明らかにした。 もしこのアイデアが正しくこれらのパスウエイを標的とすることが出来れば、現在一般的なKRASのブロック剤を開発する方針よりも遥かに優れた戦略となる。それは、KRASを合成医薬品で確実に叩くことは極めて困難だからである。アメリカがん協会によると、2012年のアメリカにおける新たな膵管腺がん患者数は43,000人を超え、そのうち37,300人が亡くなると予測されている。5年生存率が僅か5%しかないのである。Krasがん遺伝子が、膵臓
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