認知症リスクを低減?人気の血糖降下薬GLP-1作動薬とSGLT2阻害薬の新たな可能性

認知症リスクを低減?人気の血糖降下薬GLP-1作動薬とSGLT2阻害薬の新たな可能性

サイエンス出版部 発行書籍

糖尿病の治療薬が、アルツハイマー病の予防にも繋がるかもしれない――。そんな希望に満ちた研究結果が発表されました。広く使われている2種類の血糖降下薬に、2型糖尿病の患者さんをアルツハイマー病や関連する認知症から守る可能性があることが、大規模なデータ解析によって示されたのです。高齢化社会における大きな課題である認知症に対して、既存の薬が新たな光を当てるかもしれません。 糖尿病治療薬が脳を守る? フロリダ大学薬学部の研究者らが主導した研究により、人気の血糖降下薬2種類が、2型糖尿病患者におけるアルツハイマー病および関連認知症の発症に対して保護的な効果を持つ可能性があることが明らかになりました。2025年4月7日に医学誌『JAMA Neurology』で発表されたこの研究で、フロリダ大学の研究チームは、2型糖尿病を持つ高齢者のメディケア請求データを調査し、グルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬およびナトリウム-グルコース共輸送体2阻害薬と、アルツハイマー病および関連認知症のリスクとの関連性を評価しました。 データ解析の結果、他の血糖降下薬と比較して、GLP-1RAsとSGLT2isの使用がアルツハイマー病のリスク低下と統計的に有意な関連性を持つことが示されました。研究者らによると、この発見は、これら2つの薬剤が糖尿病でない人々に対しても神経保護効果を持つ可能性があり、アルツハイマー病患者の認知機能低下の速度を遅らせるのに役立つかもしれないことを示唆しています。この論文は、「GLP-1RA and SGLT2i Medications for Type 2 Diabetes and Alzheimer Disease and Related Dementias(2型糖尿病およびアルツハイマー病と関連認知症に対するGLP-1RAとSGLT2i薬)」と題されています。 新

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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